1 グローバルな《規制》の直撃を最も強く受けるグローバル・サプライ・チェーンについて、その活動実態を把握し、その実態をふまえた私法ルールの応答可能性を行う必要がある。そこで、日本のサプライ・チェーン(継続的取引関係)に関して、近時注目すべき実態調査を行った国内研究者の協力を得た検討を行い、その成果を、2019年4月にロンドンで開催された国際ワークショップで報告した(ただし、悪天候でフライトがキャンセルとなったため、急遽、ビデオ録画での参加とならざるを得なかった。)。 2 グローバルな《規制》に対する私法の応答可能性の検討については、主に次の作業を行った。 (1) 基礎的文献の収集と読み込みを行うことに重点をおいた。これは、2018年11月~2019年2月にマックス・プランク比較私法・国際私法研究所(ドイツ・ハンブルク)に滞在する機会を得たので、現地において行ったものである。 (2) より具体的な作業としては、グローバル・サプライ・チェーンにおいて取引される物品の品質の適合性判断については、複数国の品質基準が関係しうるところ、CISGのもとにおける契約規範確定の問題として、いずれの品質基準に基づく判断を行うべきかという問題についてのCISG Advisory Councilの意見書を取りまとめる会合(2018年11月10日~12日、オールボー大学(デンマーク))に出席し、取りまとめ作業を行った。 (3) 日本法におけるグローバルな《規制》の受容可能性について、日本における公序良俗論の現状と展開可能性を検討する作業を行うとともに、債権法改正を経た日本法の現状について特に海外に向けて情報発信する作業を行った。
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