本研究は、我が国における和解論の生成と展開を検討したものである。当初、不法行為と和解というテーマに絞って検討をはじめたが、その後、研究対象を和解一般に広げた。具体的には、和解の定義、和解の性質、和解の能力と権限、和解の目的物などに関する議論を検討した。そして、不法行為と和解は、和解の目的物のなかで検討した。 こうした検討の結果、我が国の和解論は、梅謙次郎の和解論をベースとしていること、それにもかかわらず、判例および学説は、梅の学説を正確に理解していないことが明らかとなった。それゆえ、本研究では、和解をめぐるさまざまな問題につき、判例や学説の見解を再検討し、これに修正を加えることを試みている。
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