研究課題/領域番号 |
16K13333
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
神山 智美 富山大学, 経済学部, 准教授 (00611617)
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研究分担者 |
三俣 学 兵庫県立大学, 経済学部, 准教授 (10382251)
齋藤 暖生 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (10450214)
高田 寛 明治学院大学, 法学部, 教授 (20773378)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 再生可能エネルギー / 天然資源 / コモン・プール・リソース / CPRs / 共有資源 / コモンズ / 共同所有 / 持続可能な利用 |
研究実績の概要 |
本研究は、再生可能エネルギー資源や希少な金属資源(レアアース)等(以下「天然資源」という)という、利活用が促進されつつあるものについての法的性質を多面的に検討すること、また、コモン・プール・リソース(CPRs:共有資源)と捉えることで、正義・衡平(公平)・公正および公益性をも担保した利活用のための法制度設計を標ぼうするものである。 二年目となる2017年は、研究会を富山で実施した。各自の研究の進捗確認と、方向性を議論した。あわせて、富山は水力発電および温泉水利用に係る訴訟(宇奈月温泉事件、権利濫用法理)の歴史がある場所でもあることから、現地実見も行った。 本研究は、法制度1)およびコモンズ研究2)からのアプローチに大別しており、以下のように進めている。 1)2016年度はスラップ訴訟および補助金の仕組みについて検討したが、2017年度は、主に、国際社会におけるエネルギー事業に係る腐敗防止について検討した。国際的な競争激化と諸外国の法律の厳罰化を踏まえ、日本企業が留意せねばならない点を検討した。神山は、日本企業のインドネシア事案を、高田はナイジェリア事案を扱い、いずれも国際シンポジウムに登壇した(論稿は2018年度に公刊予定)。また、エネルギー問題に関連して、脱炭素社会関連の研究を進める機会にも恵まれた(国際シンポジウム登壇および論稿公刊)。 2)コモンズ研究からの検討は、主に三俣、斎藤が担当している。神戸および山梨にて地域エネルギーおよび再エネシフトの現状調査とあり方に関する調査研究を継続しつつ、国際的には、例としてIASC2017のEnergy Transition Sessionでも、クラブ財としてのジレンマと限界、財の性質の変化(可変性)についても熱心な議論がなされたことにも注目している。他方、神山も、地域の拠点施設への木質バイオマス・ボイラーの地域導入事例研究に関わる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた海外調査は、2017年はじめに現段階では必要なしと判断し、その分の研究費用を研究分担者に配分した。その限りにおいては、研究開始時に予定していた研究計画にほぼ沿った形で進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度も上記1)2)を同時進行で進めていく。 1)腐敗防止法および資源の所有関係をテーマとして、米国財産法に依拠して検討する勉強会を2018年2月および4月に開催した。今年度も、主に米国法比較で、再生可能エネルギーに係る事案を検討していく。 国内で判決が出た再エネ事案についての検討を行い公刊する所存である。 2)7月に研究会を持ち、認識の共有化を図る予定である。主に三俣、斎藤が担当している神戸および山梨における地域エネルギーおよび再エネシフトの現状調査については、今年度にはまとめるように努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由:高田の未使用金が発生しているが、これは、2017年3月末の高田の富山大学転出に伴い、翌年となる2018年度も研究会および打ち合わせの等のために出張費が必要となったため、敢えて残したものである。
使用計画:昨年度の未使用金をもって、より充実した研究会を行う。
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