研究課題/領域番号 |
16K13335
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
佐藤 恵太 中央大学, 法務研究科, 教授 (60205911)
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研究分担者 |
大友 信秀 金沢大学, 法学系, 教授 (90377375)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 機能性食品 / 特許 |
研究実績の概要 |
本研究では、機能性食品について、機能性食品表示と特許出願とを重複しており、結果が異なる(例えば、機能性食品表示では表示が認められるが、特許審査では技術的効果が否定される場合)と不都合があるとの考えを出発点とした(問題視点)。この問題視点を検証するため、1)両制度の重複申請の実例の有無、2)判断結果に相違が生じる実例の有無、以上2点を確認し、実例が確認された段階で、対策を提言するという手順を予定していた。もっとも、特許出願手続では、権利を付与しない決定(拒絶査定)は、当事者が審判などの手段で争わない限り公開されないので、公開される資料として出願公開公報と、機能性食品表示の許可された事例の消費者庁による公開資料とをクロスサーチすることとした。現時点では、調査が一定の結果を見ておらず(特許審査の進行が想定よりも遅いために調査対象事例が少なく、数例見出された重複事例についても、その後の出願経過を継続してウオッチする必要があると考えている)、予期に反して、重複事例が今のところさほど出ていない。そのため、事例の蓄積を待って、次年度以降の調査を待つ必要があると考えられる。これらの手段と2018年12月段階での調査成果は、シンガポールマネジメント大学において開催された第4回知財法研究者の国際学会において報告した。加えて、類似の論理構造にある問題(同一対象について、複数の行政機関の判断が衝突する可能性がある事例)として、地理的表示と商標登録の関係をとりあげて、両者の審査結果が衝突する事例の調査を開始した(3月時点で、調査は終了していない)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
特許出願事例の審査が想定よりも遅く、また想定よりも機能性食品表示との重複事例の数が少ないことが原因で、クロスサーチの調査が進展していない。地理的表示と商標登録の関係についても、調査は終了していない。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年8月までの事例をもとに、1)機能性食品表示の全事例の申請者による同一または類似対象技術の特許出願の有無を確認する、2)地理的表示と商標登録の重複事例についても1と比較できるように調査を進める、3)外国の研究者に依頼して、同様の事例の重複調査をしていただく、以上の方策を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究対象を、日本における機能性食品表示と機能性食品の特許出願事例の衝突に限らず、外国の類似事例や、地理的表示と商標登録とに拡大することとしたため、外国の当該領域研究者との打ち合わせ、調査等のために渡航する必要があるため、現状での費用支出を抑え、令和元年度に使用できるようにした。
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