平成30年度の研究では急変する北朝鮮情勢を巡る議論が活発となり、平成30年6月のシンガポールでの米朝首脳会談、平成31年3月のハノイでの米朝首脳会談を踏まえた国連制裁のあり方やその効果に関する発信を積極的に行った。また、平成30年5月にはトランプ大統領がイラン核合意から離脱することを宣言し、新たにアメリカによる単独制裁が再開されたため、それに関する解説や分析も新聞等の媒体を通じて発信した。個別に取材を受けたものの他、朝日新聞の『GLOBE+』などのウェブ媒体を通じた時事的な発信を行い、混迷する状況に対して一般向けの理解を深めることに貢献した。 また、国連のみならず一国による制裁を分析するという研究計画に基づき、米国の北朝鮮に対する単独制裁の研究を行うため、平成31年2月に米国に滞在し、米財務省、国務省、商務省の他、シンクタンクの研究員などに聞き取り調査を行い、その成果を経産省に向けて報告書として発表した。 さらに、平成30年6月には日本国連学会でこれまでの研究成果である国連のイラン制裁の手続きや安保理決議の効力などに関する研究発表を行い、平成30年11月の日本国際政治学会では共通論題としてグローバルガバナンスの観点から日本の国連制裁への関与について研究成果を踏まえた発表を行った。 これまでの研究成果を踏まえたものとして、平成30年9月には吉村祥子編の『国連の金融制裁:方と実務』に「国連イラン制裁における金融制裁について」と題する論文を掲載したほか、京都大学の浅田正彦編による英語論文集のEconomic SanctionsにUN Sanctions on Iran: The Role and Effectiveness of UN Sanctionsと題する論文を提出し近刊の予定である。
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