研究課題/領域番号 |
16K13344
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小野 裕一 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (00700030)
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研究分担者 |
江川 新一 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (00270679)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 災害統計 / 国際規範 / 規範起業家 / 仙台防災枠組 / 保健セクター / 国連開発計画 / スリランカ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、保健セクターにおける「災害統計の整備」を事例として、国際規範の成立と国内的受容の新仮説の構築を、3年計画で試みるものである。研究の3年目(最終年度)にあたる平成30年度には、規範の国内的受容の実験国としてスリランカの事例研究を中心に実施した。 前年度までに実施したインドネシア及びフィリピンの事例研究との比較のため、規範起業家と規範受入国政府の関係について、国連開発計画(UNDP)とスリランカ国政府の関係に着目した。暫定的ではあるものの結論を先取りして記述するならば、本報告の執筆時点では、規範起業家としてのUNDPの役割がスリランカの文脈においては非常に重要である、と考えることができる。 スリランカの防災分野において、他の支援主体と比較して、UNDPは特筆すべき地位を占める。特に、2004年のインド洋大津波でスリランカが大規模に被災して以降、UNDPは「Toward a Safer Sri Lanka: A Road Map for Disaster Risk Management」の策定支援、国家防災計画策定支援、国家緊急対策計画策定支援、人材育成や早期警報システムの制度化などに取り組んできた。中でも、スリランカの災害統計を収集する「災害管理センター(Disaster Management Center: DMC)」の設立を積極的に支援し、過去の記録を含む1974年から現在までの既往災害の記録をデータベース化し、「DesInventar」と呼ばれる仕組みを管理・維持することに長期間にわたって取り組んでいる。また、DMCが被災情報を地方自治体から収集する入力様式が整備されており、災害統計の整備が体系的に進捗していることが明らかとなった。
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