研究課題/領域番号 |
16K13347
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
阪本 拓人 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40456182)
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研究分担者 |
瀧川 裕貴 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (60456340)
中井 豊 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (00348905)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 計算社会科学 / 国際理論 / 自然言語処理 / ネットワーク解析 / 国際規範 |
研究実績の概要 |
研究課題初年度より計算社会科学に関わる活発な研究活動を展開し、その成果を様々な媒体を通じて発表した. まず、研究代表者(阪本)、研究分担者(瀧川、中井)それぞれが、各々の関心に沿って計算社会科学の様々な分析手法を適用した研究を行った.阪本は、アフリカの武力紛争、牧畜民の土地利用や家畜管理、日韓の資金循環といった多様な分析対象に、シミュレーションやデータ解析等の手法を適用し、得られた知見を、Annual International Conference on Computational Social Science (IC2S2)など海外の主要学会を含む様々な場で発表した.瀧川は、数理モデルとシミュレーションの手法を用いて、社会における寛容な信頼が成立する条件を検討した.結果はPLoS ONEなど海外査読誌で公表されている.また、中井は数理モデルを用いた社会的規範形成の研究で、海外査読誌(Scientific Reports等)に掲載される卓越した成果を残したほか、様々なWebスクレイピング手法を駆使しながら、クラウドファンディングなどオンラインでの社会関係の形成や相互作用に焦点を当てた先駆的な研究にも取り組んでいる. さらに、2016年度後半にかけて、研究代表者、分担者の間で一層緊密に連携を取りながら、計算社会科学の手法を用いた共同研究に着手できたことは、本科研の推進上極めて意義深いことである.具体的には、2016年12月に芝浦工大で阪本、瀧川、中井の間で研究会を持ってから、阪本と瀧川が中心になって日米の議会データ(議員の発言録)に、トピックモデルや感情分析などの自然言語処理の手法を適用する研究を進めている.これら共同研究も、国内のワークショップ等の場でその経過が報告されるなど、すでに一定の成果をもたらしつつある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記した研究計画のうち、計算社会科学分野のレビュー論文の執筆は、年度をまたぐこととなった.他方で、上述した旺盛な研究活動とそれがもたらしている成果、共同研究の進展などを鑑みれば、これを補って余りある進展が得られている.
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今後の研究の推進方策 |
まず次年度に持ち越しになったレビュー論文の執筆に向けた作業を前進させたい.また、自然言語処理の手法を用いた共同研究についても、対象データを現行の議会データから外交文書等に拡大するなどして、国際関係論研究へのこうした手法の有効性を広く検証していきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の阪本、研究分担者の瀧川及び中井とも、当初購入予定であった物品を他科研からの支出で購入した結果、次年度使用額が発生した.瀧川については、2016年6月の米国出張の旅費が当初の見積もりより安く抑えられたことも、残額が生じた要因になっている.
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果報告のため、International Conference on Computational Social Science(2017年7月)をはじめ次年度も国際学会に各メンバーは度々足を運ぶ予定である.こうした海外出張に関わる経費への支出を中心に、残額を研究課題の遂行に資する形で有効に活用していきたい.
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