研究課題/領域番号 |
16K13357
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高崎 善人 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (00334029)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 開発経済学 / フィールド実験 / 母子保健 / 予防接種 / 心理的障壁 / ナイジェリア / 国際研究者交流 |
研究実績の概要 |
サブサハラアフリカにおいて予防接種率が低いのは、心理的障壁(誤解、迷信、不信感等)が一因であることがよく指摘される。一方で、心理的障壁と予防接種の因果関係を示した研究はない。心理的障壁を測定することが極めて難しいからである。本研究の目的は次の3つである。1)両者の因果関係を特定する斬新なランダム化比較試験(RCT: Randomized Controlled Trial)をデザインする。2)ナイジェリア北部農村部においてフィールド実験(第3回予防接種実験)を行い、心理的障壁の有無、大きさを測定する。3)心理的障壁がある場合、どのような心理的障壁があるのか、なぜそうなのかを、できるかぎり明らかにする。 1年目の今年度は、研究代表者が海外共同研究者と共同でナイジェリア北部の農村部において実施した第1回女性予防接種実験、それを発展させた形で同地域で実施する第2回女性予防接種実験の結果をもとに、第3回予防接種実験の準備を進める予定であった。しかしながら、後述する理由から第2回実験が遅れたため、今年度は、関連研究のレビュー、第1回実験データの分析、第2回実験と並行した現地予備調査を実施した。第1回実験は、予防接種の心理的障壁を直接扱った最初のRCTである。第1回実験データの分析ならびに成果発表を通じて、同実験の問題点を明確にすることができた。現地予備調査では、当該女性ならびに医療スタッフへの聞き取りを通じて、現状把握を進めた。また、調査体制を整備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第1回実験データの分析を行っていたところ、当初想定していた実験デザインでは予防接種の心理的障壁が十分に測定できない可能性があること、また当初明らかでなかった最新の研究事例を参考にして測定方法を改善する余地があることが判明したため、再度予備調査を入念に行った上で、第1回実験データの分析をやり直した。その結果、第2回予防接種実験の実施が遅れ、第2回実験データの分析を現在行っている。
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今後の研究の推進方策 |
1. 第2回女性予防接種実験データの分析、成果発表、論文作成 2. 第3回予防接種実験デザインおよび 調査票作成 3. パイロット実験 4. 本実験 5. データ整備、分析
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次年度使用額が生じた理由 |
上記の理由で、現地予備調査は第2回実験と並行して実施し、第2回実験データの分析が次年度にずれ込んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
一部は、第2回実験データの分析に使用する。残りは、現地予備調査の結果予算の増加が必要なパイロット実験に充当する。
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