研究実績の概要 |
昨年度までに最適化した並列計算プログラムを用いて、2地域・1産業モデルであったPflueger (2004)によるモデルを多地域・多産業に拡張した理論モデルを用い、 大型計算機を用いて昨年度までに基本パラメタ設定下で安定均衡のブートストラップサンプルの蓄積を終えた。具体的には、均衡における都市の規模・空間配置を特徴づける経済の産業構造は, Broda and Weinstein (2006)が米国データから推定した, 製造13,930品目の代替弾力性の分布を用いて、そこから無作為に抽出した品目群により仮想経済の産業構造を決め, その下で, 無作為に与えた人口の地域・産業間分布から自己組織的に均衡を得る試行を繰り返した。最終年に産業・人口集積の秩序形成に関する理論解析を行い基本的な結果を得るに十分な、均衡標本を得ることができた。現在、頑健性の検証のための標本蓄積を続けながら、基本的な数値解析の準備段階に入っている。 一方で、日・米・欧州・中国・インドの1kmメッシュ人口統計データを用いて、上述の理論分析に対応する実証分析のデータ収集を進め、日・米・欧州についてはデータを整理し、基礎的な分析を進め、理論モデルと同様の、人口集積の秩序形成を確認した。特に、日米では1極、欧州では2極の都市システムとして、空間的なフラクタル構造を持ち、個々のサブシステムにおける、都市規模分布がほぼ共通の冪乗則に従うことが確認されている。
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