| 研究実績の概要 |
都市集積の規模・空間パターン・産業構造における秩序形成について、日本・米国・欧州・中国・インドのデータを用いて実証し、多地域・多産業を含む内生的経済集積のミクロ理論モデルを用いて、理論的に再現するためのデータ整備及び数値解析を以下のように進めた。
昨年度に引き続き、米国の貿易データ(Broda and Weinstein, 2006)から推定した1万財以上の需要の価格弾力性値を多地域・多産業を含む新しい経済地理学モデルに適用し、大型計算機を使用した安定均衡のランダム標本の蓄積を行ない、計画した標本数の生成を完了した。
実証分析においては、第一に、この理論モデルに基づく構造的重力モデルを用いた地域経済圏の同定手法を開発し、日本の物流センサスを用いてその精度を実証した。特に、地域間の産業構造の違いを考慮しない一般的な重力モデルによる都市間貿易の推定量が、多産業を含み、それらの立地が内生的な集積のコーディネーションにより決定する本研究で用いる理論モデルと整合的な系統的バイアスを生むことを示した。
第二に、日本の国勢調査メッシュ地域統計, 事業所・企業統計調査・経済センサス等を用い、都市規模と産業構造に関する秩序形成について基礎事実を明らかにした。第三に、昨年度までに整備した日本・米国・欧州・中国・インドについて1kmメッシュデータに基づく都市集積について、都市間道路距離データに問題が生じ、OpenSteeetMapによる道路網データを用いて再構築を行った。
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