研究課題/領域番号 |
16K13362
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
小谷 浩示 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 教授 (80422583)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 共有資源利用 / 持続性 / 社会選好 |
研究実績の概要 |
一年目は文献調査とベンチマークとなる共有資源ストックの動的ゲームの設定とデザインを行った。更にそのベンチマーク実験を実験室、及びフィールドで実施している。文献調査において我々の企図していた本課題の新規性を確認しながらベンチマーク実験をデザインした事で、幾つかの重要な発見を一年目に達成する事が出来た。その内、フィールドで実施した実験は終了し、非常に興味深い結果を得るに至っている。このフィールド実験はネパールで行ったもので農山漁村域と都市域の二箇所でベンチマーク実験を行い、各地域毎で社会選好が大きく異なり、且つ、共有資源の利用の仕方とその持続性が大きく異る事が明らかとなった。この結果は、早速論文として纏められ学術誌に投稿された。結果として、Sustainability of common pool resources, Raja Timilsina, Koji Kotani and Yoshio Kamijo, PLoS ONE 12 e0170981 Feb 2017として学術誌に掲載されている。こうした結果を受けて、現在では研究計画に沿いベンチマークとなる実験を更に拡張しながら、実験室とフィールドで更に実験を重ねており、順調にデータが蓄積されつつある。そこでの焦点は「異世代間」であり、PLoS ONEに掲載された研究で用いたベンチマークの共有資源利用ゲームに更に改良を加え、より現実的な形で「異世代間グループ」を反映される様なゲームの設定デザインを行った。こうして改良された新たな異世代間の共有資源の実験をこれからも実施しながら、研究結果を逐次纏めている次第である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献調査とベンチマークとなる実験設定・デザインは終了しており、更にそのベンチーマーク実験の結果が順調に学術誌に掲載された事で、本研究課題の重要性がある程度認められたものとして考えている。少々、実験実施が被験者の都合や実施者の都合で遅れているものの十分にこれから研究計画に沿った形で実験を実施出来る目処は立っている。よって、概ね研究の進捗は順調であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
これからは実験を更に実施していきサンプル数を増やし、本研究計画で設定した仮説を検証していく事がメインの仕事となる。特に異世代間の共有地の資源利用のあり方について焦点を絞り、多くの実験を追加で実施して行く。更にそこから抽出された実験結果を基に理論構築、及びその他一般法則の導出も行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の文献調査と実験で当初予定したよりも費用がかからず実施が出来る様になった事が大きな要因となっている。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度からベンチマークとなった実験を更に実施し、更に異世代間の要素を加えた実験を大規模にこれから実施て行く事となる。よって、これまでの研究費が今年度で必要となる事は間違いなく、被験者謝金を中心として、物品や人件費等で研究費を使用していく予定である。
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