都市空間において、女性の就業状況はどのように分布し、どのような影響を受けているのだろうか?本研究は、この問いに対して、GIS(地理情報システム)と空間統計を用いて分析し、女性就業の地域差とその要因についての新しい知見を与えることに挑戦する。 平成30年度は、引き続き、最新のGISと空間データ、および空間統計ツールを再調査した。最新のGISアプリケーションの一つであるArcGIS Proを用いた経済・政策分析のためのGISと空間データを解説した入門書、および経済・政策分析のための空間統計ツールと応用事例をまとめたGISの入門書を上梓した。空間構造に関わる空間データの整備および都市の空間構造と女性就業の分析を進めた。その結果、通勤制約緩和政策は、育児中の女性の就業を促進する政策インプリケーションを得た。具体的には、雇用アクセシビリティ、混雑緩和、フレックスタイムやテレワーク、雇用集積地周辺の住宅供給、男性の育児参加の促進が例として挙げられる。これまでは主に横断面分析であった。時間軸を加えれば分析を進展させることができると考え、2018年6月、Spatial Econometrics Advanced Intitute 主催のBadi Baltagi と Giovanni Millo(R 言語のsplm 開発者)によるパネルデータ1 週間集中講義(ローマ)を受講し、空間パネルデータモデルの理論と推定法(Stata とR 言語を使用)を学んだ。母子世帯およびその子供の空間パネルデータを構築し、居住集積パターンの分析を行った。
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