研究課題/領域番号 |
16K13365
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研究機関 | 金城学院大学 |
研究代表者 |
奥村 隆平 金城学院大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50106837)
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研究分担者 |
蔡 大鵬 南山大学, 経済学部, 准教授 (20402381)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 産業クラスター / 経済発展 / 産業政策 / 産業の国際競争力 / 国際貿易 / 空間経済学 / 産業組織論 / 長江デルタ地域 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、産業クラスターの進化と衰退の要因は何かについて理論的に明らかにすることにより、産業クラスター政策のあるべき姿を提示することにある。本研究では、産業クラスターの健全な成長・発展において重要なカギを握るクラスター内部の企業関係を、短期における「競争」のみならず、長期における「協調」の両面からとらえ、産業組織論、空間経済学、微分ゲーム理論などの分析手法を応用して理論モデルを構築する。その上で、①産業クラスターの進化における公的部門の役割、②国際貿易、FDIと産業クラスターの進化、といった2つの関連テーマの分析を通じて、産業クラスターの進化と衰退に関する新たな理論的知見及び政策的含意を導くと共に、わが国産業の国際競争力の強化に理論的側面から貢献しようとするものである。 平成28年度では、産業クラスターに関する最新の文献を検討した。また、研究の精度を向上させつつ、これまでの予備的研究の成果および現地調査の結果を踏まえながら、従来の理論分析を動学的なモデルに拡張し、「産業クラスターの進化と衰退の動的メカニズム」を説明できる理論モデルの構築に着手した。 また、平成28年9月に、Ge WU江南大学(中国無錫)教授の協力を得て、中国長江デルタ地域の産業クラスター(IT産業および映画産業)についてフィールド調査を行い、地方自治体と企業に対してヒアリングを実施する等、同産業クラスターの現状や問題点の把握に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度では、産業クラスターに関する最新の文献を検討した。また、研究の精度を向上させつつ、これまでの予備的研究の成果および現地調査の結果を踏まえながら、従来の理論分析を動学的なモデルに拡張し、「産業クラスターの進化と衰退の動的メカニズム」を説明できる理論モデルの構築に着手した。 また、中国長江デルタ地域の産業クラスター(IT産業および映画産業)についてフィールド調査を行い、地方自治体と企業に対してヒアリングを実施する等、同産業クラスターの現状や問題点の把握に努めた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度では、本研究に関連する分野で優れた業績をあげている研究者や政策担当者を招へいして、セミナーを開催する。招へい研究者およびセミナー参加者との意見交換を通じて、研究の方向性・発展性について多面的に検討する予定である。 また、今年度もクラスターの持続的発展の現状や問題点を把握する目的で、現地調査を予定されているが、短期間の現地企業訪問のみで、必要な情報が十分に集まらないと考えられる。その対応として、問題意識を共有する中山大学(中国広州)・浙江大学(中国杭州)・江南大学(中国無錫)が実施する予定のアンケート調査の結果などを活用する。 なお、有能な研究協力者を見つけられず、計画が完成できないと考えられる。その対応として、研究会などの参加を通じて、今までの協力ネットワークをさらに広げる予定である。一方、研究が当初の計画どおりに進まない場合には、いずれかのテーマに集中して取り組むとともに、問題設定の再検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
中山大学側の事情により、2017年3月に予定されていた会議が開催できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
「産業クラスターの持続的発展」をテーマとする日本・中国双方の研究者によるジョイントコンファレンスを開催(名古屋)する。
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