研究課題/領域番号 |
16K13370
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
宮崎 毅 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (40458485)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 小地域統計 / 津波被害 / 東日本大震災 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、小地域統計のデータベース作成とデータベースのマッチング、及び小地域統計を用いた地域の異質性と地方公共サービス供給に関する研究を行った。 第1に、国勢調査等の小地域におけるデータベース作成とデータのマッチングを行った。まず国勢調査の小地域統計については、年齢別男女別人口、外国人数、産業別職種別就業状態、世帯類型、住居の建て方などに関するデータベースを作成した。津波高については、東北地方太平洋沖地震津波合同調査グループ(2011)によって計測された津波痕跡の調査結果を用いて、小地域別の津波浸水高・遡上高のデータベースを作成した。ただし、これらのデータと県警から発表された震災死亡者データの小地域分類は一致しないため、国勢調査区域をベースとして3つのデータのマッチングを行った。津波死亡者データは緯度経度で位置を特定できることから、約3100の津波高・浸水高データについて国勢調査区域地図を用いて調査区域を特定する作業を行った。また、昭和三陸津波の小地域別死者数、流失棟数データも作成した。 第2に、整備された国勢調査の小地域統計を用いて、小地域や市町村における年齢や人種の異質性が公共サービスの質に及ぼす影響を分析した。本研究の目的の一つは、年齢や人種、所得などの地域における相違や異質性が、政治プロセスを通じて地域の防災対策や防災力に影響を及ぼすのかを明らかにすることである。そのため、地域における異質性が公共サービス供給に影響を及ぼすかどうかを同定することは、地域の住民特性と地方政府の防災対策の関係を調べる上で重要である。そこで、地域の人種異質性が公共サービス供給に及ぼす影響を分析したが、分析結果からは特に影響を及ぼすものではないことが示された。この結果は、2つの国際学会で発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初、国勢調査等の小地域データベース作成を本年度の研究計画としていたが、国勢調査のデータベース作成を早期に終了させることで、本研究と関連する別の実証分析を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究と強く関係する地域の異質性と公共サービスの質に関する分析を実施することができたことから、分析の精緻化を進めて学術雑誌等に公表したい。また、地域における社会人口動態・経済状況と津波被害に関する分析に必要なデータも整備されつつあることから、データ整備を早期に終えて因果関係を特定するための推計に着手したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に実施する予定であった論文の英文校正が次年度にずれ込んだために、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に英文校正を実施する予定である。
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