研究実績の概要 |
研究の進展が予想を下回っていたため、当初の計画を1年延長した。2019年度はその延長した最終年度となる。当初は2018年度中に実施を予定していた全国自治体調査であるが、2019年度の多くを質問票の作成に時間を費やしたため、調査は年度末に近い2020年2~3月に実施した。調査票は企業誘致にかかわる基本計画の策定状況、条例の策定状況、誘致実績、誘致目標などを尋ねている。また、企業誘致については、自治体間の競争も激しくなってきていることから、それらの項目にかかわる近隣自治体や類似団体(いわゆる規模の近い自治体)の状況をどれだけ把握しているかについても尋ねている。全国の1,740自治体の企業誘致を担当している部署に質問票を送付し、740自治体から返答を得ることができた(回収率42%)。 また、2015年11~12月に実施した第1回自治体調査(668自治体から回答を得ている)の追加分析も行った。具体的には、自治体における職員研修が自治体財政にどのような影響を与えるかという分析を実施した。職員研修を行った自治体と行っていない自治体とを単純に比較することはセレクションバイアスが生じるため、疑似実験手法の一つとして知られている傾向スコアマッチングの手法を用いて分析を試みた。分析の結果、職員研修の効果は限定的ながらも一定程度財政改善につながることが示された。この分析は英語論文として執筆し、現在投稿に向けて最終調整を行っているところである。
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