研究実績の概要 |
2016年度は、関東の30の中規模・小規模の認可保育園で、保育環境の「質」を定量的に評価し、保育の質に関わる諸要因(保育環境、担当保育士の保育士資格取得に至る学歴および保育士歴、園規模、子ども対保育士比)と子どもの発育状況との関連を検討した。小規模保育園および中規模保育園の保育環境を定量的に評価し、保育の質に関わる諸要因(保育環境、担当保育士の学歴および保育士歴、園規模、子ども対保育士比)と1歳児クラス在籍児の発育状況との関連を検討した。保育の質研究において国際的に広く利用される保育環境評価スケール(Infant and Toddler Environment Rating Scale-Revised; ITERS-R, Harms, Cryer, & Clifford, 2003, 埋橋玲子訳, 2009)を用い、保育園に実地調査として入り、小規模保育園および中規模保育園の1歳児クラスにおける保育環境を評価し比較した。その結果、全般的には小規模保育園の方が中規模保育園よりも保育環境の質が良好であることが示された。また、保育環境の良さと担当保育士の保育士歴の長さは、1歳児学年末における子どもの発育状況に有意な正の関連をすることが示された。保育園の規模や子ども対保育士比、担当保育士の保育士資格取得に至る教育歴は、子どもの発育状況と有意な関連は認められなかった。本研究の結果は、「良質な保育が子どもの適応的な発達と関連する」という海外の研究成果と一致するものである。この研究を踏まえて、今後は長期的に縦断的調査研究を行う必要があることが明らかとなり、16年度中に埼玉県和光市と話し合いを進め、17年度からは同市の認可保育園(公設公営の2園を除く)全園の1,3,5歳児を対象とした調査を進めていくことで合意したところである。
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