研究課題
代表者の黒澤は,1) ロシュ,ネスレの二重法人・二本社構造の実態,2) 両社の認識・行為の含意,3) 大西洋を超えた資産移転・トラストスキームの有効性,4) 両社の組織・戦略へのインパクト,5) 両社とスイスの事例の一般性,6) 関係諸国当局の認識と対応,7)その後の時代(冷戦期)への影響を明らかにした。当初二重課税への対応の中で採用された組織構造が事後的に地政学リスクの回避に用いられて本来の目的を達したが,意図せざる統治構造の危機に帰結したこと,企業と本国政府の間の連携関係の存在,平和時におけるこれらの国際的な租税回避インフラへの転化が確認された。研究成果は,Neil Forbes, Ben Wubs and Takafumi Kurosawa (eds), Multinational Enterprise, Political Risk and Organisational Change: From Total War to Cold War, Routledge, 2018の序章および第1章論文(Wubs and Kurosawa),単独のジャーナル論文として公刊された。松原有理は,(1)租税条約レジームの形成への日本の関与,(2)日本のタックス・ポリシー形成へのその影響を解明した。井澤龍は,(1)両大戦間期の日英米の国際的二重課税救済制度の変遷とそのインパクト,およびその背景,(2)各国の国際的二重課税救済制度の多国籍企業への影響,(3)英日米政府の国際租税制度への影響を解明し,租税制度が多国籍企業の組織・戦略に与えた影響を解明した。全体として,経済史・経営史家と,現在の実務的な法的課題を念頭に各国の法制度を比較・関係の両面から捉える法学者の共同研究によって,個別領域の分析のみでは視野に入らない論点を浮き彫りにすることができた。
すべて 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)
ZjapanR, Zeitschrift fuer Japanisches Recht
巻: Bd. 23, No. 46 ページ: 181-214
Ben Wubs, Neil Forbes, and Takafumi Kurosawa, eds., Multinational Enterprise, Political Risk and Organisational Change: From Total War to Cold War, Routledge, New York, USA, and London, UK, Poland
巻: book chapter ページ: 1824-1987
(Book Chapter) In: Neil Forbes, Takafumi Kurosawa and Ben Wubs (eds) Multinational Enterprise, Political Risk and Organizational Change: From Total War to Cold War
巻: _ ページ: 23-68