研究実績の概要 |
最終年度に実施した研究の成果としては、それまでの研究内容の公開が主となった。2017年度内での成果物を上げると以下のようになる。①「在外史料館所蔵史料による戦間期在豪日本商社の組織編成に対する比較分析」『明治大学社会科学研究所紀要』第56巻1号、②「戦間期三井物産職員の定期昇給とボーナス決定のメカニズム」『社会経済史学』第83巻3号、③『学歴と格差の経営史―新しい歴祖像を求めて―』日本経済評論社、④The Assessment and Real State of Tertiary Education Graduates Employed by Japanese Companies during the Pre-War Period: Their Actual Contribution to the Mitsui Bussan General Trading Company、The Japanese Research in Business History , Vol.34, Business History Society of Japan, 2017となる。一連の議論では、本研究の結果導き出されたいくつかの新たな解析結果を報告している。それは、以下の諸点におよぶ。Ⅰ.学歴と企業内での昇進や昇給に関する議論では、かつて日本で学校制度が設立された時点から学歴別の雇用がノーマルであったという通説を企業内の従業員の個票データの解析により批判し、それはむしろ、第二次世界大戦以降、つまり戦後に本格化した点を実証した。Ⅱ.従来の研究では戦前期の代表的総合商社社員のボーナスはきわめて多額であった点は知られていたが、その査定過程や計算方法等も明らかではなかった点について、NAAでの収集史料から、月給査定との関連や計算方法について学会ではじめて明らかにすることができた。
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