研究課題/領域番号 |
16K13384
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
尾崎 弘之 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 教授 (60409787)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 退職者ネットワーク / 企業アルムナイ / 越境学習 / 非公式ネットワーク |
研究実績の概要 |
1990年代後半以降の成果主義導入に伴い日本の終身雇用制度は変化し、雇用の流動性が高まっている。このような環境下では、「社内」に限定した人材育成は時代遅れである。そこで、社内の枠組みを越える「越境学習」が問題解決の可能性を持つ。本研究は、企業の経営・公式活動と社員による非公式な越境学習とのシナジーを対象とする。 米マッキンゼー社は、退職者の非公式ネットワークと自社の経営・公式活動とを連携させ、シナジーを得る「企業アルムナイ」に長年注力している。日本では、リクルート社の退職者間に非公式ネットワークが存在する。本研究では、米国企業と比較しながら、①日本に企業アルムナイを受け入れる素地があるのか、②適応性が高い企業の業種や特性、③企業アルムナイを円滑に受け入れるために必要な施策は何かを、明らかにすることを目指す。 昨年度は、自社以外の情報や人材を活用しながら外部組織との連携によってイノベーションを実現する「オープンイノベーション」を対象とした企業インタビュー調査を実施した。約40社の大企業と面談したが、オープンイノベーションにおいて、企業アルムナイがどのような役割を果たしているか、オフィシャルな組織とどのような連携を取っているかを重点的に調査した。現状の仮説では、組織、イノベーション戦略、アルムナイが強い連携を保っている企業はイノベーションを生み出す力が強く、活力がある。特に、インテンシブなインタビュー調査を株式会社リクルートホールディングスに対して行い、ケーススタディ用資料を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度、企業のインタビュー調査は広範に行うことができた。ところが、調査結果の整理、分析にかける時間が不十分であり、仮説も洗練されているとは言い難い。来年度はこの点、進捗を目指したい。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度にインタビュー調査を行った企業をメンバーとして、月一回の頻度で研究会を実施する。15社の企業から参加連絡を受けている。そこではオープンイノベーションにおいて企業アルムナイがどのように機能しているか重点的に調査を行う。定期的な研究会が綿密な調査を行ううえで資すると思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査活動に要する交通費が少なく済んだためと、資料、データベース収集に遅れが生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
海外調査、資料収集、国内調査などスピーディに計画に合わせた活動を行う予定である。
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