研究課題/領域番号 |
16K13385
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高瀬 進 京都大学, 経営管理大学院, 特定助教 (90724047)
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研究分担者 |
水上 嘉樹 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (60322252)
松田 温郎 山口大学, 経済学部, 准教授 (60632693)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ロボット / アントレプレナーシップ / 大学発ベンチャー / 参与観察 / アクションリサーチ / 人工物の設計 |
研究実績の概要 |
初年度は、ロボティクスとアントレプレナーシップについて、各代表・分担者が、カーネギー学派の人工知能、認知科学、近代組織論を再検討し、人工物の設計の観点から方法論の検討をおこなった。 昨年度は、(b)アシストカーの事業化、(d)特区制度の活用、社会実験については、研究筆頭者の高瀬が、京都に転籍したため困難となってしまったが、(c)レスキューロボットの技術転用の実施については、順調に推移し、建設現場の解体作業への転用は、大学内のベンチャーキャピタル部門の協力を得て、具体的なスタートアップの案件として成長しつつある。内閣府Impactにおけるタフロボティクスでなされている原発の廃炉技術の基礎研究の、解体作業への応用は、出口戦略が明確であることからも、有力な上場案件として期待されるまでとなった。単に技術の追求だけでなく、スタートアップのマネジメントに、実務も理論にも精通している経営学研究者がアクションリサーチとして参画している点、理論的にも実務的にも貢献が大きい。 京都モノづくりバレーの寄附講座による、2020年に本大会が実施される、ワールド・ロボティクスサミットへの協力、京都モノづくりバレーにおける文理融合型の研究会の実施、その他、高速ビジョンと連動したVRやAR等のスポーツ分野へのロボット技術への転用、日本版NCAAによるマイナンバーカードの活用(スマートスタジアム)など、具体化しつつあるアクションリサーチが順調に進んでいる。人工物の設計の観点から、ロボッティクス・システムと事業システムが連動させることが要諦であり、最終年度は、社会実装と事業化の両面から、具体化し、理論的側面から検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロボティクス分野においては多種多様なロボットのプロトタイプ(試作)が研究目的で提案される一方、経営学分野では、第三者の立場から過去の開発プロジェクトのケーススタディーをインタビュー調査から実施する以外、方法論が整備されていなかったため、プロトタイプの事業化やスタートアップの出口戦略に経営学者が関与することがなかった。 一方、解体作業のロボット技術の転用(三次元計測技術の活用)や日本版NCAA(スマートスタジアム、電子チケット等)については、経営学者がベンチャー支援を目的にリエゾン活動に関与し、具体的な提案内容が反映されていることから、社会実験研究に近いアクションリサーチとして研究報告が可能な状況になっている。 大学発ベンチャーの研究者としては、大学発ベンチャーのビジネスプランの策定に関与し、競争的資金の獲得や、大学ベンチャーファンドからのスタートアップへの出資、そして、キャピタルゲインによる大学へのリターンに至るまで、継続的にコンサルティングとリサーチを同時並行的に進めていくことがその役割であり、そのモデルとなることを本研究は想定している。
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今後の研究の推進方策 |
(a)人工物の設計に関するアクションリサーチの方法論の開発は、初年度に目処が立ち、その基本文献の翻訳出版が決定している。(b)のアシストカーの事業化については、ビックデータに着目し、新たな事業システムの導入を伴う必要性を強調する意味でも、日本版NCAAにおける電子チケットの導入、スマートスタジアムの導入として継続する。(c)レスキューロボットの技術転用の実施は、大学ベンチャーファンド等の協力を得て、社会実装や事業化の目処が付きつつある。(d)特区制度の活用は、ワールドロボティクスサミット(WRS)が2020年に開催され、研究筆頭者の高瀬が所属する京都モノづくりバレーの寄附講座においても、京都試作ネットと連携をして、協力体制が構築できつつあることから、当初とは異なる対象であるが、新たなリサーチサイトを得た上で、当初の研究を推進していく予定である。
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