本年度は、前年度に公開した、デザインドリンブン型イノベーションの対話モデルである「対話のトライアングル」モデルをもとに、イノベーションにおける対話の実態を捉えるモデルを構築した。さらにこのモデルを使ったイノベーションの実態を業界別に捉えるための枠組みを設定した。さらに対話モデルに、認知科学の枠組みを援用し、つくる行動と使う行動を繰り返すことによってHuman centered positionを創造するモデルを構築した。このモデルではプロトタイプが外部表象の対象として投射との関係を明らかにした、この成果を、書籍(2冊:共著)、論文3本(国際学会1本含む、全て査読付)、口頭報告5回(国際学会2回含む)として公表した。査読付き論文においてはレビューアーからの有益なフィードバック、また口頭報告においては参加者からの質問、コメントを得ることができた。また、作成した対話モデルと対話測定モデルについては、学会報告以外に、スタンフォード大学機械工学科においてデザイン思考を研究するCDRのメンバーに対してもコメントを得た。 また、報告と並行し、近畿大学の産学連携施設を活用し文系、理系学生に対してデザイン・ドリブン型のプログラムを試行し公開型の製品開発ワークショップを実施した。プロトタイプを積極的に活用するためのツール開発として、加工が容易な素材を活用したプロトタイプ実験とアイディア創造量、フィードバック量の検証を行った。また外部の公開型のプロトタイプワークショップにおいて企業勤務担当者とのワークショップを実施しモデルの有効性を検証した。デザイン・ドリブンを先端的に進める分野との今回検討したモデルの適用と確認するため、有力スタートアップ企業が多く出展する、CES、SXSWにおいて、スタートアップ企業の調査を実施した。この調査では、各企業のプロトタイプ開発における課題、有効性についてモデルとの対比および補足情報の収集を行った。
|