研究実績の概要 |
(1)「理性」と「感情」が交差する投資意思決定のプロセス、(2)投資家の情報入手のステップとそのステップに応じた入手手段の選択肢、(3)投資家の最終リターンに対する納得感情の8つのパターン、以上3つについて概念整理と基盤となる説明理論を示した。さらに、投資家の開示主導権の行使と納得感情に関する質問票による実験を行い、その結果を論文にして国際学会で発表している(Marina(Miyuki)Hayashikawa,”investors’ emotion in searching information”, The proceedings of ACMASS 2016)。
実験は、同時に同一室内において、学部3-4年生レベル118名(会計学基礎終了)および社会人を含む大学院生7名の合計125名への質問票への回答結果を集計する方法で行った(被験者にはインフォームドコンセント済み。回答の自由、回答結果が成績評価に無関係であることの説明を含む。)。統計処理上の制約はあったものの、単純集計値から仮説を支持する傾向が確認された。 仮説に対する検証結果は以下。投資家は積極的に追加情報入手の権利を行使する。追加情報入手の権利行使した場合、ネガティブリターンにも納得を示す。有料の追加情報には、その情報内容に高い信頼性を期待する。有料追加情報を得てネガティブリターンであった場合、感情的に納得しない。また、追加ヒアリングから、任意開示は必要とするものの強制開示内容の方を高く信頼する傾向も判明した。 現在は、ヒアリングで得た回答事実から、情報開示を認知科学の視点からとらえた人体実験を追加して行う準備中である。
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