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2016 年度 実施状況報告書

投資家主導の情報入手が投資意思決定に与える影響についての実験研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K13400
研究機関長崎大学

研究代表者

林川 美由樹 (林川万理水)  長崎大学, 経済学部, 准教授 (30452858)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード納得 / 開示主導権 / 理性と感情
研究実績の概要

(1)「理性」と「感情」が交差する投資意思決定のプロセス、(2)投資家の情報入手のステップとそのステップに応じた入手手段の選択肢、(3)投資家の最終リターンに対する納得感情の8つのパターン、以上3つについて概念整理と基盤となる説明理論を示した。さらに、投資家の開示主導権の行使と納得感情に関する質問票による実験を行い、その結果を論文にして国際学会で発表している(Marina(Miyuki)Hayashikawa,”investors’ emotion in searching information”, The proceedings of ACMASS 2016)。

実験は、同時に同一室内において、学部3-4年生レベル118名(会計学基礎終了)および社会人を含む大学院生7名の合計125名への質問票への回答結果を集計する方法で行った(被験者にはインフォームドコンセント済み。回答の自由、回答結果が成績評価に無関係であることの説明を含む。)。統計処理上の制約はあったものの、単純集計値から仮説を支持する傾向が確認された。
仮説に対する検証結果は以下。投資家は積極的に追加情報入手の権利を行使する。追加情報入手の権利行使した場合、ネガティブリターンにも納得を示す。有料の追加情報には、その情報内容に高い信頼性を期待する。有料追加情報を得てネガティブリターンであった場合、感情的に納得しない。また、追加ヒアリングから、任意開示は必要とするものの強制開示内容の方を高く信頼する傾向も判明した。
現在は、ヒアリングで得た回答事実から、情報開示を認知科学の視点からとらえた人体実験を追加して行う準備中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

企業情報開示の利用側(投資家)の感情的納得形成を観察し、開示と情報入手の一連行為に影響を与えるファクターを明らかにし、新しい開示デザインに役立てるインプリケーションを得ることが本挑戦的研究の課題である。H28年度に行った上記実験の結果、開示デザイン、開示手段、開示環境からも投資家が影響を受けることが判明し、それは投資家の専門知識に左右されるような類のものだけではなく、よりプリミティブな「認知」の問題も関係していることが判明した。追加実験として、ハワイ大学の臨床心理学者2名、会計学者1名と共同で開示デザインから受ける投資家の心理、記憶、判断の追加実験をH29年度に予定している。現在、ハワイ大学の治験審査の結果待ちである。当初の計画では、質問票による行動実験の限界、被験者が学生に限定されることで実社会現象が説明できない可能性がある限界などを懸念していたが、臨床心理学者との実験準備プロセスで情報入手→知覚→判断→付随感情という現象を物理的に眺める価値を見出し、広く「情報を受け取る人の反応」として企業情報開示を捉えるに至った。H29年度に実施する実験では、視点を変更して研究課題に挑む。

今後の研究の推進方策

投資家の情報入手時の「認知」に焦点を当てた実験を積み重ねる予定である。同一情報内容が開示デザインや開示媒体によって投資家にとってどのような刺激反応となるかを実験する。具体的には、開示情報を伝達する際の紙面の色彩の違い、情報加工可能性を秘めた電子媒体と紙媒体の違いなどである。本研究は、臨床心理、医学の協力のもと行われるため、研究上の課題としては、治験審査に時間を要すること、海外と日本でのインフォームドコンセントの違いの理解と実施など、実験そのもの以外の手続きに多大な時間を要することである。1つずつクリアして実施する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Investors' Emotion in Searching Information2016

    • 著者名/発表者名
      Marina (Miyuiki) Hayashikawa
    • 学会等名
      ACMASS 2016
    • 発表場所
      アラモアナホテル(ホノルル, 米国)
    • 年月日
      2016-08-10
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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