研究課題/領域番号 |
16K13402
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
八重倉 孝 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (90308560)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | リサーチ・メソッド / 条件付規範的会計研究方法論 / La Porta et al. (1998) |
研究実績の概要 |
「会計学が応用科学である」とするMattessich(1995,2002)の出発点の確認を行い,会計学を純粋科学として捉えるSterlingらの主張との対比において,会計学が応用科学であることの確認をおこなうことが本年度の第一のテーマであり,両者による著作をはじめとする関連文献の精査を行った.この結果,Mattessichが提唱するConditional Normative Accounting Methodology (CoNAM)が,規範論と経験論を繋ぐ結節点になりうることを確認した,この部分の成果については学内の研究会で草稿を報告した. さらに、応用科学の採るべき研究方法について,臨床医学や工学などの他の応用科学における研究方法の検討と,それらのうちで会計学研究に援用が可能な手法の有無ついて検討することが本年度の第二のデーまである.そのために,科学哲学における認識論の位置づけについての主要な先行文献を収集し,精査をおこなっている. また,研究方法の各論についての分析の端緒として,経験的研究において用いられているデータの妥当性について検討を行った.ここでは国際会計比較研究に頻繁に援用されているLa Porta et al. (1997,1998)が提供しているデータセットを分析し,そのデータが全く妥当性に欠けていることを明らかにした.この結果は当該データが極めて多くの研究に用いられていることから,学界に対して警鐘を鳴らすものとなっている.この分析結果はAcademy of Business Research Conference(於ニューオーリンズ)で報告し,次年度中に学術雑誌に投稿する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題はほぼ順調に進展している.当初の計画通りに実行できなかったのは海外におけるヒアリングであり,先方との調整が不調に終わったため実行できなかった.ヒアリングについてはあらためて調整を行い,29年度後半に実行する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
研究課題がほぼ順調に進展しているため,上述のヒアリングを除き当初の研究計画に沿って研究を遂行する. 平成29年度は,規範論研究において経験論研究から得られた知見を演繹の一部として導入する方法の検討と,経験論研究において規範論研究を研究の与件として導入する方法の検討が主題となる.前者は規範論研究の演繹の枠組みの中で,(ほんらい帰納の枠組みから得られたはずの)経験論による知見を援用する場合にその知見が満たしているべき条件について検討する.具体的には、どのようにして経験論からの知見が十分な信頼に値するか否かを判定する方法を検討する.後者は,現在の経験論研究において十分な理論的は裏付けをもって(疑似)実験を行っているケースは極めて希であるため研究結果の内的妥当性も極めて低いものばかりである事に鑑み,本研究では経験論研究を行う際の前提として最小限行われるべき規範的理論研究の水準について検討する.具体的には,仮説検証の手続きに耐えうる理論のあるべき形について明確にする. 平成30年度は,上記二つの検討の結論を綜合することによる会計学研究方法の確立を酒大都市,規範論・経験論の垣根を越えた,会計学の統一的な研究方法についてとりま とめる.また,上記の研究成果を、(1)学術論文査読の際に研究方法の観点から査読者が依拠すべき基準として,また(2)会計学研究者養成の教育現場において学ばれるべき研究方法論の体系としてとりまとめる.
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に計画していた海外におけるヒアリングについて,先方との調整が不調だったため行うことが出来なかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
ヒアリングについて再度調整のうえ,次年度に実行する計画である.
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