研究課題/領域番号 |
16K13403
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
田口 聡志 同志社大学, 商学部, 教授 (70338234)
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研究分担者 |
藤山 敬史 神戸大学, 経済経営研究所, 講師 (00756463)
三輪 一統 神戸大学, 経済経営研究所, 講師 (00748296)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 会計学 / 保守主義 / エンフォースメント / 透明性 / 減損 |
研究実績の概要 |
本研究は、財務会計情報の内部作成・利用過程における保守主義について、特にエンフォースメントとの関係性に焦点を当て、人間心理分析が得意な実験という新しい手法を用いて分析することを目的とする。会計的保守主義の慣行は古い歴史を持ち、現在も会計実務に大きな影響を与えているが、その是非については賛否両論あり、特に経営者報酬や監査においてもその対応について定まった見解がない。本研究は、この点に関し、コーポレート・ガバナンス改革や国際的な会計基準設定とも大きく関連する保守主義について、人間心理の観点から会計・監査制度設計に対する新たな知見を提供することを目指す。 H28年度は、理論モデルを精緻化する作業をおこなうとともに、減損損失計上に関する経営者の心理的な側面に焦点を当てた研究を推し進めた。特に、近年注目を集めているKAMに関する制度変更の影響を心理学ベースの心理実験の枠組みにおいて考察した。そして、以下のような流れで研究を進めていった。①予備実験の実施:最適な実験デザインをはかるために、予備実験をおこない、そこでの結果を分析することで、どのようなシナリオを使い、どのような意思決定変数を用いたらよいか検討を行った。②実験デザインの修正作業。③本実験。以上①~③を行った上で、その内容を分析し、論文の形にまとめて、まず日本会計学会全国大会で研究報告をおこなった。 さらに、その論文を英語化し、AAA(米国会計学会)での年次大会での学会報告のための論文投稿をおこなった。そしてさらに追加実験もおこなった。そのうえで現在、海外査読ジャーナルへの投稿を準備している段階にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H28年度中は、特に全体でのミーティングを数多く行い、情報の連携を図るとともに、実際に時間が限られている場合も、スカイプを用いた打ち合わせを有効活用することにより、研究をうまく進めていくことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度においては、前年度に実施した実験の結果をうけて、海外査読ジャーナルへの投稿、海外学会での報告を目指し、研究成果の世界への発信をおこなう。また新たに、監査人の意思決定に着目した実験をデザインする。予備実験、それをうけての実験デザインの修正を経て、本実験の実施・実験結果の分析をおこなう。ここでは監査人の意思決定に焦点が当てられているため、必要に応じて、公認会計士等の実務家に実験参加を依頼することも計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
H29年度以降に予定している経済実験のための被験者謝礼をできるだけ残す意味で、初年度はできるだけ資金を節約するように思案して執行活動を行ったため(次年度使用分が生じたことは、研究進捗度とは関係がない)
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次年度使用額の使用計画 |
経済実験のための被験者謝礼に組み入れて用いる予定である。
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