研究課題/領域番号 |
16K13406
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 嘉倫 東北大学, 文学研究科, 教授 (90196288)
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研究分担者 |
浜田 宏 東北大学, 文学研究科, 准教授 (40388723)
永吉 希久子 東北大学, 文学研究科, 准教授 (50609782)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 社会的排除 / 差別 / 計算社会科学 / 記述的規範 |
研究実績の概要 |
本年度は研究プロジェクト初年度なので、プロジェクトメンバー間でプロジェクトの目的と方法を明確にする議論を行うとともに、海外研究協力者を東北大学に招聘して議論を深めていった。 具体的には、社会的排除の累積過程の詳細な分析をプロジェクトの基本的ターゲットとしてエージェント・ベースト・モデルとビッグデータ収集・解析という計算社会科学の2つの主要アプローチにより、排除の累積過程の分析を進めた。エージェント・ベースト・モデルはコンピュータ上で多数のエージェント(行為者)を作り出し、行為者の相互作用から社会現象の生成を解明する手法である。ビッグデータ収集・解析はオンラインデータを自動的に収集して、そこから社会的パターンを抽出する手法である。これらの手法を用いることで、本プロジェクトのテーマである分析社会学による社会的排除の解明を推進することができる。そして本年度は次のような成果をあげることができた。 (1)ある社会領域における排除(例えば失業)が他の領域における排除(たとえば離婚)の確率を高めることが社会的排除の累積過程の背後にあると想定し、そのモデル化を進めた。 (2)排外意識高揚のメカニズムについて、周囲の人間の行動を参照する「記述的規範」と差別を報道するメディアの影響に着目したエージェント・ベースト・モデルを構築した。そして、もともと差別を行う人が少数派である場合、単に周囲の人間の行動を参照するだけでは差別は拡散せず、メディアによって差別を行う人と接することが重要な役割を果たしていることを示した。また、人口の1割でも反差別の規範を持ち、周囲に同調しないだけで、差別行為を行う人が多数派になる状況を回避できることも明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに研究会を行い、海外研究協力者の招聘も行った。その結果として、「研究実績の概要」で述べたような成果をあげることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も当初の計画にしたがって研究を推進していく予定である。なお平成29年度は日本側プロジェクトメンバーが海外研究協力者を訪問してさらに議論を深める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究会ホームページ作成費用が予定以下の金額であったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度にホームページメンテナンス等に使用する予定である。
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