研究課題/領域番号 |
16K13407
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
石沢 真貴 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (20321995)
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研究分担者 |
成田 憲二 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (40333918)
林 武司 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (60431805)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 東北地域 / 漆文化・産業の再評価 / 伝統的地場産業 / 地域再生 / 文理融合型 |
研究実績の概要 |
本研究の主要対象地湯沢市における川連漆器産地の地域特徴を捉え直すため、自然科学と社会・人文科学のフィールドワークにより各種データを収集した。 1.植物生態学的アプローチによる漆資源の現状把握 地図や衛星画像などを用いながら、文献等から過去の漆原(ウルシノキ植林地)やブナ等がどのように分布していたか推定し、現在の林構造や分布、更新過程を明らかにするため、周辺山地等のフィールドワークを行った。 2.社会科学・人文科学的アプローチによる社会構造の分析 1)古文書等の歴史資料収集および現地調査による集落構造の分析 川連漆器産業の主要集落および周辺山地における過去から現在に至る地域構造を知るため、まず移住史の背景をもつ木地師等と土着層との空間分布、棲み分け等による地域的特徴などを示す現地データとして郷土資料および、現地集落跡等の現地調査をした。 2)漆文化・産業の再評価や地域再生の動向を知るための資料収集 旧稲川町の川連漆器は1976年に伝統的工芸品として国の指定を受けたが、これを契機に伝統的工芸品の原材料である漆の安定的供給体制整備が緊急課題とされ自給生産を目指した漆木の植樹事業が行われた経緯があったことがわかり関連資料を収集した。これは成果が得られず頓挫したが、近年、再び国産漆への関心や地元産の原料を使った商品づくりを試みる取組みが進められており、また平成28年度に秋田県漆器工業協同組合を事業主体とした「漆の森形成事業」が進められ、現在その動向を追っている。職人や事業所において世代交代が進みつつあり、若手職人のネットワーク形成と交流による技術継承活動等が行われておりこうした動向を把握するため継続的調査を行っている。これに関して学会発表を行った(石沢真貴「漆文化・産業を活用した地域再生の動向と課題 川連漆器産業を事例に」東北都市学会2016年度大会自由報告 2016年11月20日)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究対象地の固有の地域構造や周辺地域との関係性を把握するため、研究課題に即して当該地域や伝統的地場産業に関する関連資料・現地調査集計データの再整理を行う計画であったが、現地調査も含めた一連のデータ整理作業が十分進められなかった。 木地師や漆かき職人等の移住史研究や漆・木地・漆器等の物流、治政の歴史を手掛かりにして、近代から現代にいたる川連漆器産地と県内外の他地域(近畿、北陸から東北地域一帯)との社会的諸関係を把握しようとしているが、平成28年度中は他地域の調査があまりできなかった。 過去の漆原(ウルシノキ植林地)の分布を示す史料、現存の漆木の位置を確認できる資料がほとんどないため確認する作業に時間がかかっている。また、漆木のある土地の土壌調査等を行う予定であるが、当該地域当該関係者における諸問題など現地事情もあり、調査が進められない面があった。
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今後の研究の推進方策 |
1.平成28年度中に十分できなかった各分野における調査研究の継続 平成29年度は、平成28年度中に十分できなかった調査研究を継続しつつ県内外の他地域における調査も進め、地域比較をすることで当該地各エリアの地域特徴を把握できるようにする。 2.漆文化・産業の再評価や地域再生に関する事業展開の把握 平成28年度より個人事業所単位で地域ブランドの確立を軸に海外特に欧州への販路拡大を試みる事業展開が再活発化している様子が見られるため、こうした事業展開に関する動向を継続的に把握することで、漆文化・産業の再評価や地域再生の動向を知るための資料収集を行う。 3.GISデータベースの構築と研究成果活用の検討 各調査から得られたデータおよび、湯沢市から提供を受けた地図データ等を用いてGISデータベースの構築を試みる。それによってこれまで人文科学・社会科学的な調査研究だけでは十分把握できなかった地域的特徴を確認したうえで、どのように東北地域における漆文化・産業の再評価が可能か検討する。調査結果をもとに研究成果を発表しつつ、地域住民による地域づくり等に活用できるよう地元へのフィードバック方法を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は、研究代表者、研究分担者とも調査研究旅費として使用する機会が少なかったことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、国内外において調査研究旅費に使用する予定があるため、それに充てる計画である。
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