研究課題/領域番号 |
16K13407
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
石沢 真貴 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (20321995)
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研究分担者 |
成田 憲二 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (40333918)
林 武司 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (60431805)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ウルシ / 漆文化・産業 / 東北 / 川連漆器 / 文理融合 |
研究実績の概要 |
人文・社会科学分野においては、東北地域における他の漆器産地、特に岩手県浄法寺等との比較により、研究対象地である秋田県の川連漆器の特徴を整理した。近世から近代にかけ、岩手県石神の斎藤家や浄法寺の佐藤家は強力な問屋支配体制をつくった。一方、川連漆器は寛政から天保期が展開期で、寛政年間に在方商人高橋家が塗物の投資産業を開発、文政から天保期にかけ支配体制を敷いた。しかし幕末~明治初期のインフレで衰退、支配から逃れた職人が背負行商による市場開拓を拡大する。明治20~30年代には新支配層の五人衆が登場、その内の一家が地主化し職人を小作として支配する。しかし、川連は流通形態が注文生産による背負行商が行われており、農村向けの椀・膳が主であることで職人が独立しやすく、結局完全な問屋支配は確立しなかったことがわかった。 植物生態学分野では、研究対象地においてウルシの稚樹の追加調査を行った。また個体群緒特性の解析とGISを用いた空間分布について作図・分析した。その結果、この地域では個体の成長は比較的高く生残も良い事、維持管理が悪く多数の個体がツル植物による影響を受けている事、成木からの出根と思われる新規個体が多くみられる事などが分かった。これらから周囲の耕作放棄地などを利用し、適当な管理を行えば現存個体からの出根を使用したウルシ木の植林は可能だと判断された。 地球科学分野においては、GISを用いて研究対象地域におけるウルシ栽培適地を検討した。検討に際して自然条件、人的条件、自然災害に関する条件を設定した。その結果、3条件を満たす栽培適地が研究対象地域において多くないこと、現地で行われている2か所のウルシ苗木栽培地は共に3条件の適合度が高くないこと、地元産漆を安定的に増産するためには土地利用を大きく改変する必要のあること、が明らかとなった。 各研究は日本村落研究学会、日本地理学会で発表した。
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