研究課題/領域番号 |
16K13415
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
湯崎 真梨子 和歌山大学, 産学連携・研究支援センター, 教授 (50516854)
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研究分担者 |
中島 敦司 和歌山大学, システム工学部, 教授 (90283960)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 学校立地 / 学校沿革 / 防災機能 / マップレイヤー / 災害履歴 |
研究実績の概要 |
近年,増え続ける廃校について,その学校立地の価値を歴史的,地理的なアプローチから再評価し,今後の防災上に役立つ情報を抽出するために,今年度は次の情報の集積に努めた。 ① 社会学的調査 散逸している学校,廃校の情報を集め,一覧整理する:和歌山県内の市町村史,学校100年史,議会資料などに散逸された情報から,新旧校地の位置,沿革,災害の履歴などの情報を抜き出し,一覧表に整理する。その際,和歌山県内で設置履歴のある小中学校,廃校(尋常小学校含む)すべてのデータ化を行う。また,立地検証は原初の村単位で調べるために,資料の探索と学校跡の探索に労を費やした。 ② 現地調査 文献情報を強化するため,現地調査の実施:立地条件,地形,現在の土地利用,建物や道路の状況など,関係者や住民を対象とした地域情報,歴史情報,災害情報に関する聞き取り調査を実施した。これまでにすでに1,685の現地調査は実施済みであるが,未調査の約700件の案件整理に取りかかった。 ③ マップレイヤー作成,公開:地理情報システム用い,上記①,②で確認した位置情報をマッピングし,和歌山県内で設置履歴の確認できた廃校(尋常小学校含む),小中学校すべてを対象に,地形,沿革,災害履歴が付記された汎用マップレイヤーを作成した。その後,マップレイヤーをGoogle Mapに公開し(登録制にて),閲覧者から寄せられた情報を元に修正し,データの高精度化をはかっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
此までの学校沿革および立地情報については,一覧整理からマップレイヤーの作成までおおむね計画通りに進んでいる。明治時代の学校創設時の立地など資料になく不明なところについても,古地図の読み取りと現地調査により精度の高い場所の特定にいたることができた。また並行して神社の立地などの調査も進んでおり,今後は学校立地と(災害に安全な場所につくられるという仮説をたてた)神社立地との関連性などを含め,学校立地の価値について検討していくことができる。
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今後の研究の推進方策 |
廃校,現役校の校地の履歴をデジタルマップ化し,行政が公開している災害ハザードマップと照合し,かつ文献と現地調査から新旧校地の被災履歴を再整理し,災害に対する立地安全性をスクリーニング調査する。また,廃校の建物の状態,集落からの距離や道路の状況,空間の面積などから避難所しての適切性の検討にも進みたい。 以上をマップレイヤーとして整理することで,防災情報の「見える化」を図り,校地の立地と災害安全性との関係性を明らかにし,学術的な知見の公開に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は,文献など学術情報の収集と整理に努めたことと,現地調査は,複数市町村の調査を集中的な日程でするなどして費用の効率的な使い方に努めたため。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き情報の収集に努めるため,平成29年度は大災害地における学校の被災状況と立地関係の調査も行う予定である。そのための旅費に使用することを計画している。また,研究成果を学術書としてまとめ,公開を予定しているため,その費用にも充てる計画である。
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