在留特別許可は本来ならば日本に在留することが出来ず、退去強制処分に処せられるしかない外国人に法務大臣がその者の日本滞在に何らかの理由が見いだせた場合に、これを発付することでその者の在留できない理由を消し去り、その後に在留資格を与えることを可能にさせる手続きである。何らかの理由を法務大臣が見いだせれば、法を曲げてその者に固有の理由でこれをおこなうことから、個別的判断によって行われており、何らの基準に相当するものはないとされる。 しかし、在留特別許可についてすべてを個別的理由で済ませてしまうと、かえって法の支配に混乱をもたらすから、法務省入国管理局も2005年以後、認めた例と認めなかった例を公表しているし、その判断基準についても「在留特別許可に係るガイドライン」として判断形式の在り方を公表している。これらのことは、一定の法秩序のなかでこれを行っていることを示すものであり、日本の外国人の受け入れでのフリンジの在り方がどのようになっているのかをあらわしている。 2018年12月に、出入国管理及び難民認定法と法務省設置法が第197臨時国会で改正されて、外国人労働者受け入れのために新たな在留資格「特定技能」が創設され、それまで法務省の内局であった出入国管理局が外局化されて出入国在留管理庁にかわって、新しい外国人統治が始まった。この新しい傾向も、在留特別許可行政の変化から十分にそれが読み取れるものであり、今回の法改正が外国人の受け入れにおいてどのような方向での受け入れになっているのかを明らかにした。その受入れ方とは、可能な限り労働者のみを受け入れて社会的費用につながる家族滞在の外国人については入ってこないようなインセンティブ付けがなされていること、家族と一緒に住める外国人を受け入れたとしても仕事がなくなったら家族とともに日本から出て行かざるを得ない位置づけになっていることを明らかにした。
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