研究課題/領域番号 |
16K13424
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研究機関 | 活水女子大学 |
研究代表者 |
岡田 純也 活水女子大学, 看護学部, 教授 (70315266)
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研究分担者 |
河村 洋子 熊本大学, 政策創造研究教育センター, 准教授 (00568719)
幸 史子 帝京大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60736130)
岡田 みずほ 長崎大学, 病院(医学系), 技術職員 (90596561)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ベーチェット病 / 患者会 / PDアプローチ |
研究実績の概要 |
Positive Deviance(PDと略)アプローチを活用して、ベーチェット病患者会という組織集団に対し、今後の患者会の運営のあり方を検討した。調査対象である全国ベーチェット病患者会の支部長会議へ出席し、本研究の目的などを説明し、承諾を得て、患者会21支部中、10支部から回答を得た。以下、PDアプローチに基づき、結果を分析した。 1.問題や原因、他の支部で実践していない活動などを特定する。 患者会の運営や活動においての問題や原因は【活動資源確保の困難性】【人的資源の不足】【ニーズの多様化】であった。また、患者会の運営や活動において工夫している点は【会員の自己啓発】【組織運営の継続性】であった。その中でも他の支部で実践していない活動として<会員の役割の負担の軽減><資金集め><思いを伝える>ことが、PDであった。これにより、問題や原因、他の支部で実践していない活動などを特定した。 2.特定した中で順調な支部の存在を同定し、成功を導く実践や行動を発見する。 特定した支部の患者会の活動状況を参加観察し、順調(うまく)にいっている支部では、<会員の役割の負担の軽減>のために「総会時の議長役は、毎年違う会員を指名し、やってもらっている」ことや参加者の年齢層が様々であり、特に若い参加者が多く、協力し合う場面が多かった。さらに、インターネットの掲示板をうまく活用し、会員同士の情報交換を行っていた。また、<思いを伝える>と回答した支部は、特に電話相談があった場合、丁寧に傾聴し、相手を気掛け、個々の方々へ自筆の手紙を添え、人とのつながりを大切にしていた。 以上の分析より、問題や原因、他の支部で実践していない活動などを特定でき、その中で順調(うまく)にいっている支部の存在を同定した。現在、順調(うまく)にいっている患者会の指標として、「ベーチェット病患者会に参加している患者のQOLと患者同士の関係性の調査」を分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書通り、調査対象である全国ベーチェット病患者会の支部長会議へ出席し、本研究の目的などを説明し、承諾を得て、調査が実施できている。 また、調査結果よりPDアプローチを活用して、問題や原因、他の支部で実践していない活動などを特定し、その中で順調(うまく)にいっている支部の患者会の存在を同定できている。 患者会参加者に対して、「ベーチェット病患者会に参加している患者のQOLと患者同士の関係性の調査」を依頼し、データ入力が済み、現在、分析中である。
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今後の研究の推進方策 |
【平成29年度の計画】平成29年度全国ベーチェット病患者会の支部長会議へ出席し、ワークショップを開催する。順調(うまく)にいっている患者会の発見、順調(うまく)にいっている患者会で発見された実践や行動について、他の支部の患者会が実践できるような介入をデザインする。デザインした計画に基づき、承諾が得られた患者会で実践するように拡散する。 【平成30年度の計画】全国ベーチェット病患者会の支部長会議へ出席し、平成29年度の調査結果を報告する。平成29年度にデザインした計画を取り入れた各支部の意見や感想を聞く。また、同意が得られた支部に研究者が行き、取り組みの様子や改善、変化していく様子をモニタリング(観察)し、評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に患者会が開催されている数か所の支部に調査に行く予定であったが、仕事の都合で調査に行くことができなかったことや予測していたよりも患者会が開催されず、調査に行くことができなかったため、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
このため、仕事の調整を行いながら、前年度に行けなかった支部に調査に行くために、未使用額はその経費に充てながら、平成29年度は、当該年度に開催される患者会に調査に行くための経費としたい。
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