研究課題
挑戦的萌芽研究
本研究は、農・漁業世帯が長期に渡り家業・生業の存続を図るために行ってきた選択、いわゆる「生業戦略」に着目し、兵庫県南あわじ市を対象に収集した、経済経営等の態様および後継者の確保に関する定量的データから、生業戦略の理論的方法論的枠組みの確立を目指した。3農業集落(N=154)、3漁業協同組合(N=119)の集計結果から示唆されることは、農・漁業ともに高齢化が進行していること、農業に比し漁業において後継者不足が深刻化していること、後継者ありの世帯は、家業の拡大を戦略的に行っていたことである。
人類生態学
活力の低下が続く日本の農・漁業社会において、本研究は、南あわじ市の農・漁業社会の将来像、各世帯の稼業・生業の持続性、さらには、それぞれの後継者(担い手)の確保の可能性を検討するために、「生業戦略」の定量化を試みた。学術的/社会的意義としては、(1)生業戦略に関する定量的データ収集・分析法の確立、(2)世帯構成の変化と生業戦略との関連の検証、(3)農・漁業社会における家業・生業の持続性の理解の3点である。