研究課題/領域番号 |
16K13433
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
本村 真 琉球大学, 法文学部, 教授 (30274880)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ストレスマネジメント / 児童養護施設 / TRE / リセット |
研究実績の概要 |
1.TREおよびリセットの石垣市内の社会的養護関連職員のストレスマネジメント・スキルとしての有効性の検証 1)ワークショップの実施:有資格者3名2日間の日程で市内の児童養護施設を会場とした2回のワークショップを実施する。各回ワークショップの定員は10名程度とし、セミ・クローズドで参加者を募集。同様のワークショップを合計4回実施する(2回×2期間)。2)TREの有効性に関する調査:事前・事後の「専門職のQOL-第4版」(日本語版)を用いた調査実施および、個別の聞取り調査の実施した。島嶼地域特有のストレスの有無については、その地域の出身者かどうかやストレス発散方法の種類等がその差につながっている。TREおよびリセットについては、研修当日は昨年度同様に概ね肯定的な変化がみられると共に、その後の継続に関する課題が確認された。 2.石垣市内における児童養護施設を拠点とした関連専門職員のストレスマネジメント・システムの構築と有効性の検証:上記のワークショップの参加者を対象として、ストレスマネジメントおよび、児童養護施設を核にした関連専門職員支援に関するアンケート調 査(実態・ニーズ調査)および個別の聞取り調査を実施した。地域において職場組織を超えた研修会の実施は十分に行われておらず、ストレスを原因として離職する職員が確認された。ストレスマネジメント的な対応と共に、専門スキルの向上をはかるための研修会の実施の必要性に関する指摘もあり、また、支援上の課題を解決するヒントを提供する専門家へのニーズも確認された。児童養護施設を核にした研修会実施については、施設への理解を深める機会になるという点を含めて、肯定的な意見が多くみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(理由) 1.TREおよびリセットの石垣市内の社会的養護関連職員のストレスマネジメント・スキルとしての有効性の検証を2期4回にわたって実施したワークショップを通して実施することができた。職員勤務のローテーションの都合等によって参加人数が少なくなったことによりアンケート調査や聞き取り調査の対象者が想定よりも少なかったが、ワークショップ実施当日の肯定的変化について確認できた。その後のアンケートの結果より、有効性を実感したスキルであっても、日々の多忙な業務の中でそのスキルを継続できるかどうかが課題となる点が再確認できた。また、島嶼地域特有のストレスの有無については、個人のネットワークやストレス発散方法の種類によっては狭い地域性故に逆にサポートネットワークが活用できるという肯定面が確認された。 2.石垣市内における児童養護施設を拠点とした関連専門職員のストレスマネジメント・システムの構築と有効性の検証:地域において職場組織を超えた研修会が不十分であると感じられている状況が確認できた。ストレスを原因として離職する職員がみられる状況については、ストレスマネジメント的な対応と共に、専門スキルの向上をはかるための研修会の実施や、状況に応じた専門的知識・技能の提供の必要性も確認された。児童養護施設を核にした研修会については、肯定的な意見が確認された。 3.リセットのプラクティショナー(実践者)の養成:新たな展開課題として、現在島内にはリセットのプラクティショナーがおらず、有効性が実感された場合においても個人的な活用として継続しない場合も確認され、この技法を継続的に地域で展開するためには、当地におけるプラクティショナー養成も課題となる可能性があることが確認された。
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今後の研究の推進方策 |
1.リセットのプラクティショナー(実践者)の養成について:現地における継続的な展開のためのプラクティショナーの養成の必要性が確認されたので、その養成にむけた研修会を実施する。
2.支援を必要とする児童・生徒理解の困難さ(個々の対象者の状況把握の困難さ)が、支援上のストレスとなっており、また、島嶼地域においてはそのような困難さに直面した時のサポート体制が十分でないことも、ストレスが高まる大きな要因となっている。「発達障がい」をもつ対象者への対応の困難さをサポートするために有効な社会資源の構築も、個々の職員のストレスマネジメント同時並行で検討していく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
沖縄県の島嶼地域における社会的養護関連職員のストレスマネジメント・システムの構築に向けて、当該地域におけるストレスマネジメント技法の実践指導者の養成が必要との結論に達し、期間を延長して養成トレーニングの実施に向けた検討を行う必要性が生じたため。
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