研究課題/領域番号 |
16K13438
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研究機関 | 北海道文教大学 |
研究代表者 |
大川 浩子 北海道文教大学, 人間科学部, 教授 (50458155)
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研究分担者 |
宮本 有紀 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (10292616)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ワーク・エンゲイジメント / 就労支援 / バーンアウト / 感情労働 / マインドフルネス / セルフ・コンパッション / インテンショナル・ピアサポート / コ・プロダクション |
研究実績の概要 |
本年度はプログラムの開発と予備研修プログラムの試行を行った。 先ず、前年度のアンケートの分析を行った。その結果、ワーク・エンゲイジメントは若年層ほど低く、更に、ワーク・エンゲイジメントが低い群では「身近に相談できる就労支援のスーパーバイザーがいない」「就労支援に有効な方法やプロセスがわからない」ことについて他の群よりも多い傾向が認められた。 この結果を踏まえ、予備研修プログラムでは、若年就労支援実践家が周囲と信頼関係構築に必要となる「つながりの感覚」(対話型アプローチであるインテンショナル・ピアサポートの3つの視座のひとつ)に焦点を当てることとした。また、支援者のセルフケアの観点から、「セルフ・コンパンション」(Neff,2011)の考え方を取り入れ、マインドフルネスなどを利用し、自分自身を感じていることに気づき、受け入れられる工夫を行うことにした。そして、ワーク・エンゲイジメントの対立概念であるバーンアウトにおける脱人格化を予防するために、コ・プロダクションの視点から参加者に障害当事者を受け入れ、相互に学びあえることを保証する枠組みとした。 上記の要素を加味した予備研修プログラムの試行は、Gentle Teachingの研修に習熟したトレーナーの協力を得て2回実施した。各回の地域、参加人数と実施期間を変え、研修に必要となる内容と枠組みの検討を行った。具体的にはプログラムの開始時、終了時、研修修了から3か月後の計3回アンケートを実施した。アンケート内容はプログラム満足度等に加え、ワーク・エンゲイジメント(日本語版UWES,島津,2015)、感情労働、バーンアウト尺度について行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度のアンケートの実施の遅れから分析も遅れ、プログラム開発のための意見聴取を行うことが難しくなった。そのため、アンケートの分析結果を中心にプログラムを開発することになってしまった。この遅れは、予備研修プログラムの実施時期及び参加者を募るための周知にも影響したと思われる。更に、参加者の募集の遅れは、結果として予備プログラムへの参加者が研究者の関係者に偏る形になってしまった。 更に、予備研修プログラムの実施が10月になったため、追跡アンケートの発送が1月に入ってしまった。アンケートの回収率を上げるため、回収方法を希望者についてはメールを利用したが、郵送よりも回答率が悪く、回収期間も延長することにつながってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は研修プログラムの実施時期を9月と前年度よりも早め、追跡アンケートも郵送にて行い、回収率を上げるように努める。また、研修用のリーフレットを作成し、研修の運営及び参加者への周知に利用する。 若年の就労支援実践家を対象としたプログラムであるが、前年度を踏まえると、参加者の確保が難しいことが予測される(研究者の関係者に偏りやすいということも含め)。そのため、比較的近い属性と考えられる医療・福祉領域の支援者も対象として広げ、参加者の確保に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
予備プログラム開発に関して関係者から意見を聴取する予定だったが、アンケートの実施及び分析が遅れたため、予備プログラムの施行までの期間が縮まっってしまった。そのため、アンケート結果を中心に予備プログラム開発を行い、費用に差額が生じた。 この差額については、最終年度である本年度に、本プログラムに関するリーフレットを作成費用に充当する予定である。
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