研究課題/領域番号 |
16K13439
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研究機関 | 桜美林大学 |
研究代表者 |
白澤 政和 桜美林大学, 自然科学系, 教授 (20094477)
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研究分担者 |
中谷 陽明 松山大学, 人文学部, 教授 (00198128)
石川 久展 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (80222967)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ソーシャルワーク |
研究実績の概要 |
日本、韓国、台湾、中国の北東アジアでのソーシャルワーク国家資格制度の客観的データを収集し、4か国等の比較を行なった。具体的に調査項目は、以下の通りである。①国等の現状(総人口、65歳以上人口、高齢化率、14歳以下人口、年少人口比率)。②ソーシャルワーカー資格取得の枠組(ソーシャルワーカー受験資格の確保方法、社会福祉士制度の法律ができた年、ソーシャルワーカー資格制度の法律名、試験が始まった年、今までソーシャルワーカーをやっていた人が資格を取得するための措置、養成課程の設置の要件、行政による養成課程への指導、査察等の有無、通信課程の有無、養成課程修了の平均的な費用、奨学金・補助金などの有無、③大学での資格取得の内容、(受験要件、受験内容、必要な履修科目名とそれぞれの時間数、総履修時間)、④実習について(実習の内容、実習の時間数、実習のパターン、実習機関の分野、実習指導を担当する教員資格、現場指導者の資格、実習担当教員の訪問指導の有無、実習先機関への謝金の有無、実習生に実習機関が賃金支払いの有無、⑤演習について(演習の内容、演習の時間数、演習での学生の人数制限の有無、演習担当教員の資格)、⑥試験について(2015年の受験者数および合格者数・合格率、ここ10年の合格者数および合格率の変化、試験日および合格日、日本や海外の社会福祉士資格保持者に対する優遇処置、社会福祉士資格付与する大学の数および総学生定員数、大学数および総学生数の10年間の数の変化、⑦卒業後の状況(卒業した際の主要な就職場所、国家公務員採用の有無、地方公務員採用の有無、ソーシャルワーカー資格以外の資格制度の有無とその仕組み、社会福祉士のキャリアパスとしての認証資格の有無、ソーシャルワーカー資格がケアマネジャー(台湾・日本のみ)になれる条件、現在の資格者数と働いている人数、であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査で以下が明らかになり、順調に進展している。 ソーシャルワーカー資格制度の概要では、ソーシャルワーカー資格制度制定年は日本は1987年、韓国は1983年、中国は2006年、台湾は1997年。各国ともソーシャルワーカーの受験資格ルートは4年制大学だけではなく複数のルートがある。2015年の合格者数は日本が45187人(合格率27%)、韓国が26327人(合格率31.6%)、中国が47429人(合格率17.1%)、台湾が1039人(15.5%)。 ソーシャルワーカー資格制度の受験要件は、日本では主として4つのルートがあり、いずれのルートにおいても指定科目を修めた人に受験資格が付与される。受験科目は専門科目として19科目がある。韓国では1級から3級までの社会福祉士と段階制度となっている。3科目8領域からなる試験科目がある。中国では「Junior ソーシャルワーカー」と「ソーシャルワーカー」があり、科目数はそれぞれ2科目と3科目である。台湾では資格要件に大きく2つのルートがあり、受験科目は一般科目としての国語、専門科目として6科目ある。 実習教育に関する比較では、日本では実習時間は180時間で、一つの実習施設において120時間以上行うことが基本である。実習パターンは、大きく分散、集中の2つの実習パターンであり、それらを選択することができる。実習先は、告示で示されているところが指定の実習先とされる。韓国では実習時間は120時間で、実習パターンは学期中集中と休み中実習の2つがあり、どちらか一方を選択する。実習先は社会福祉事業法と関連したところとなる。中国は特に実習教育に関する規程がない。台湾では実習時間が400時間と最も長い。実習時間が長いために学期中実習と夏休み実習を組み合わせている。実習先は、ソーシャルワーカー資格者が1名以上おり、実習制度を組み立てることができる組織とされる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究としては、前年度に明らかになった4か国等の調査結果を、日本語、韓国語、中国語、台湾語、英語の5か国語に翻訳し、冊子としてまとめ、刊行する。 その結果を、9月に中国の深センで開催されるアジアオセアニア・ソーシャルワーク教育会議で発表する。同時に、会議に参加する4か国等の職能団体と養成団体のリーダーに対して、今後の国内・外での課題についてヒヤリング調査を行う。その結果を、国内と国外の課題に分けて、まとめることとする。 なお、4か国等に加えて、アジア各国のソーシャルワーカーの職能団体、養成団体にも作成した冊子を配布し、アジアとオセアニア全体での今後のソーシャルワーク資格制度のあり方を検討する資料として活用してもらう。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額については、すでに使用・請求しており、次回の入金を待っての支払い予定となっている。
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次年度使用額の使用計画 |
すでに使用しているので、使用計画に変更は無い。
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