本研究の目的は、認定のスーパービジョンの在り方から学生に対する養成校教員あるいは実習指導者による実習スーパービジョンの実態を明らかにし、社会福祉の人材確保、キャリアパスにつながる実習スーパービジョンのモデル・プログラムを構築するであった。 アメリカではCSWe(Council on Social Work Education)のEdcational Policy等によって、明確に質が保証されいていた。イギリスにおいては、ソーシャルワーカーは国家資格化の動きがあるなかで、大学院を中心として実習教育があり、学生は徹底した実習のReflectionを受けていたが、実習教育におけるスーパービジョンという名称はあまり使用されていなかった。我が国では、実習スーパービジョンという用語が広く使用されていたが、その定義は様々であり、明確とは言えなかった。特に厚生労働省により規定されている実習指導担当教員、実習指導者講習会で使用されているテキストにおいては、テキスト内でスーパービジョンの定義が曖昧であり、執筆者によってとらえ方が違い、実習スーパービジョンという用語の定義が曖昧であることが明らかとなった。FGI調査やヒアリング調査でも、教員によって学生に対する実習指導が実習スーパービジョンといえるのかのとらえ方は様々であった。認定社会福祉士が少しずつではあるが、スーパービジョンを重要なものと認識しているが、養成課程においては実態として、実習スーパービジョンが明確になっていないことがわかった。 結論として、我が国ではまだソーシャルワークスーパービジョン自体が醸成されておらず、実態として認定社会福祉士制度による広まっているところであることが確認できた。そして、スーパービジョンは人材確保やキャリアパスに至るまでには、未だ状況が熟しているとはいえないことが明らかとなった。
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