研究課題/領域番号 |
16K13441
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
扇原 淳 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (20329072)
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研究分担者 |
西村 昭治 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (30207493)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 熟練介護者 / 暗黙知 / 熟練介護技術 / ビジュアル・マニュアル |
研究実績の概要 |
本研究は,熟練介者がもつ食事介助に関する暗黙知・熟練技術を解明し,その知見を活用した研修プログラムの開発を目的としている. 平成 28 年度は,熟練介護者の持つ一連の食事介助場面における暗黙知・技術の抽出のために,研究協力機関の高齢者福祉施設において,食事介助・口腔ケア場面の動画撮影(初任者・熟練介護者),熟練介護者へのヒアリングを行った. 特に,撮影した動画をもとにした作業過程の分析を行い,熟練介護者が持つ食事介助・口腔ケアに関する意思決定フローチャートを作成した.その結果,熟練介助者は初任者と比較して,利用者の状態確認場面・頻度が異なっていることが明らかとなった. さらに食事介助者にウェアラブルのアイカメラを装着し,介助者側の目からみた映像を収集・解析した.その結果,食事介助における熟練介護者が有する暗黙知として,利用者の眼と喉を集中的に観察していること,その理由として,眼からは利用者の要求と状態のアセスメント,喉からは食事のスムーズな摂取と誤嚥状況のアセスメントを行っていることが明らかとなった. また,食事介助場面で出現する暗黙知と熟練技術を抽出し,食事介助フローにもとづいた重要場面と重要情報を組み込んだビジュアル・マニュアルを作成した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
教育コンテンツの一つである確認テストの作成や,口腔ケアにおける動画コンテンツの作成が完了していないことから,やや遅れていると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
前年度に開発した食事介助動画コンテンツ,ビジュアル・マニュアルに加え,事前事後テスト,さらには口腔ケアに関するコンテンツを作成し,研究の結果明らかになった熟練介護者が持つ暗黙知・熟練介護技術を実装した学習管理システム(動画コンテンツの配信,学習者の登録,学習履歴の管理,学習進捗の管理)を開発する. 研究協力について同意の得られた高齢者福祉施設の職員を対象に,開発したシステムを活用してもらい,学習効果の測定に加えて,利便性を含めた開発システムの評価を行う.なお,学習履歴や BBS の書き込みの内容を分析し,高齢者介護施設職員の学習傾向や学習ニーズに関する特徴を洗い出す.得られた評価結果をシステムの改善に反映させ,高齢者介護施設職員向け研修プログラムのプロトタイプを提案する.
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次年度使用額が生じた理由 |
関東圏域の施設の研究協力が得られたことから,当初計上していた旅費の使用を抑えることができたため.
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果の公表と専門家との情報交換を目的とする学会参加旅費への計上を予定している.
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