研究課題/領域番号 |
16K13451
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研究機関 | 保健医療経営大学 |
研究代表者 |
泉 賢祐 保健医療経営大学, 保健医療経営学部, 教授(移行) (20516976)
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研究分担者 |
辻 正二 保健医療経営大学, 保健医療経営学部, 教授(移行) (10123936)
樗木 浩朗 保健医療経営大学, 保健医療経営学部, 教授(移行) (70607093)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 医療同意能力支援 / 成年後見制度 / 意思決定支援 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、文献及び資料収集等を行い、研究発表及び論文の投稿を行った。その内容は、医療同意能力の支援について,現状の把握と支援方法について考察した。医療同意能力への支援に関する資料や文献等の情報を収集し、①医療同意能力支援が必要な者の現状、②「医療同意」概念の発展、③家族の代諾の問題、④精神科医療の制度的問題、⑤医薬品の臨床試験、⑥医療同意能力に関する成年後見制度の課題、⑦医療同意能力の評価方法、⑧ドイツ世話法、⑨医療同意能力に関する検討状況、等の項目に整理し、考察を行った。 医療の現場においては、医療の専門家と患者と家族が十分に情報を共有し理解して、医療・ケアチームや専門家から構成される委員会の支援を受けながら、できるだけ患者自身が決定するようにすること、患者が決定できない場合は、医療の専門家と家族、医療・ケアチームや専門家から構成される委員会の協働によって、患者にとって最善の治療方針をとることが適切であると考えられる。医療の現場を支える制度としては、医療同意能力を欠く成年者に対して,本人の意思能力がある時に、公証人の認証ある書面を裏付けとした同意代行者を選任し、医療行為に関する同意権の代行を行い、同意代行者がいない場合は家庭裁判所が選任するという、公機関である裁判所の監督のもと、本人の意思を尊重し且つ最善の医療が行われるよう、立法による支援制度を確立する必要がある。 今後、特に認知症高齢者の増加が予測され、社会的に医療同意能力への支援の必要性はさらに高まる状況にあり、医療や家族、成年後見制度等の領域には課題が残されており、発展してきた医療同意の概念や評価方法を活用しつつ、海外の制度等も参考にしながら、医療同意に関するより適切な社会の制度の構築、医療の場及び生活の場での意思決定支援の方法の開発が必要であるという結論に達した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、実態調査の事前の準備として、論文等の文献検索や裁判例等の法令、調査報告書等を検索し、先行研究等のさらなる収集と分析を行った。それらにより、「医療同意能力への支援」の現状の検討、予測を行い、一定の結論を得た。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従い、平成29年度は、福岡県内の医療及び福祉の施設(約800か所)に対して、「医療同意能力への支援」の現状や対応の工夫等についてアンケート調査を行う。アンケート調査の集計、分析により、現場の実態を把握する。平成30年度は、選定した施設(約30施設)に対しての訪問調査を行い、より詳しい事例の把握を行い、特に対応方法や工夫等について、臨床現場での暗黙知の具現化としての実践知の把握を行う。
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