研究課題/領域番号 |
16K13451
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研究機関 | 保健医療経営大学 |
研究代表者 |
泉 賢祐 保健医療経営大学, 保健医療経営学部, 教授(移行) (20516976)
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研究分担者 |
辻 正二 保健医療経営大学, 保健医療経営学部, 教授(移行) (10123936)
樗木 浩朗 保健医療経営大学, 保健医療経営学部, 教授(移行) (70607093)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 医療同意能力支援 / 成年後見制度 / 意思決定支援 / 医療モデル / 生活モデル |
研究実績の概要 |
平成29年度は、文献及び資料収集等を継続しつつ、研究発表と論文の投稿を行った。文献及び資料の研究から、現代社会の医療同意能力に関する議論は、単に医療同意能力支援の問題にとどまらず、医療同意能力支援を含む意思決定能力支援へと、検討の領域が拡大しており、「医療モデル」を含む、「生活モデル」へと拡大しつつ、意思決定支援の在り方が議論されている。そこで、本調査に先立ちプレ調査として、福岡県内の障害者支援施設に対して意思決定支援に関する調査を実施した。その結果によると、回答した施設の利用者のなかで、意思決定支援の必要な者は、無回答の施設もあるため概算だが、「支援は必要ない」が9.8%、「少し支援が必要」が10.9%、「一部支援が必要」が17.6%、「かなり支援が必要」が26.0%、「全面的支援が必要」が35.6%であった。何らかの支援が必要な者は90.1%で9割を超え、「かなり支援が必要」と「全面的支援が必要」を合わせると61.6%で全体の6割を超えている。また、「支援は必要ない」は、記述より身体障害のみの者であった。この調査で、意思決定能力支援が必要な者への支援及び配慮については、大部分の施設で、それぞれの方法により、取り組まれている状況が確認できた。ただし、障害者支援施設の組織的な対応については「全体的」に取り組みが進んでいる施設内の日常生活レベルでの支援に比べ、外部とのつながりなど社会参加、社会生活レベルでは「部分的」対応が多く、今後の課題となっている。意思決定能力支援に焦点を当てた取り組みは、まだ、ほとんど行われていない現状にあり、また、意思決定能力支援に関するひとつの方法として、成年後見制度の活用が広がっていることが明らかとなった。本調査では、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」を反映させ、平成30年度前半期に実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度研究計画のアンケート調査実施において、福岡県内の病院、老人保健施設、特別養護老人ホームに対する医療同意能力支援に関する調査(本調査)を行う前に、プレ調査として、福岡県内の障害者支援施設に対して意思決定支援に関する調査を実施したことと、平成30年3月31日に発表された「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」の内容を本調査の質問内容に反映させたため、本調査は平成30年度前半期に実施することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従い、平成30年度は、前半期において、福岡県内の医療及び福祉の施設(約1,000か所)に対して、「医療同意能力への支援」の現状や対応の工夫等についてアンケート調査を行う。そのアンケート調査の集計、分析により、現場の実態を把握する。そして後半期に、選定した施設(約30施設)に対しての訪問調査を行い、より詳しい事例の把握を行い、特に対応方法や工夫等について、臨床現場での暗黙知の具現化としての実践知の把握を行う。さらに、それらをもとに、実践レベル及び政策レベルでの医療同意能力支援についての提言をまとめ、学会発表及び論文による発表を行う。
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