研究課題
挑戦的萌芽研究
本研究は、信頼のマクロな社会差の説明原理と、二者関係におけるマイクロな信頼の説明原理との間の関係を明らかにすることを目的に、二つの実験研究を行った。第一実験の結果は、相互協力関係が達成されると信頼は生まれるが、信頼性は生まれないことを示し、第二実験の結果は、自分が他者と比べて特に信頼されたと感じても信頼性は高まらないことを示した。このことは、マイクロな信頼と信頼性の形成過程について更なる研究が必要であることを意味する。
社会心理学
社会において信頼が重要な役割を果たすということには、社会科学全般において広く合意が存在する。しかし、これまでは信頼の社会差を説明する研究と、二者間で構築される信頼関係についての研究は、独立して行われてきた。本研究の結果は、社会差を説明する理論では特定の二者間における信頼関係構築は説明できないことを示した点で、大きな意義がある。今後は、特に信頼性の動的な変化の可能性について、更なる検討が臨まれる。