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2016 年度 実施状況報告書

教師・保護者・地域住民コミュニケーションの構造的改善に資する社会心理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K13464
研究機関岐阜聖徳学園大学

研究代表者

吉田 俊和  岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (70131216)

研究分担者 浅野 良輔  久留米大学, 文学部, 講師 (50711909)
吉澤 寛之  岐阜大学, 教育学研究科, 准教授 (70449453)
吉田 琢哉  岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 准教授 (70582790)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード社会化エージェント / 教師の指導スタイル / 親の養育態度 / 友人ネットワーク / 共感性 / 社会的認知バイアス / 社会的自己制御 / 集合的有能感
研究実績の概要

平成28年度は、共同研究者と学術雑誌に1編、学会発表5本を行った。『心理学研究』に掲載された論文は、「養育者の養育態度が青年の認知を介して社会化に与える影響」を検討したもので、保護領域における社会化として位置づけられる共感性は、養育者の受容が、子どもの受容認知を高めることで促進される一方で、監督領域における社会化とされる社会的認知バイアスは、養育者の統制が、子どもの統制認知を高めることで抑制されるという知見を得られた。
社会心理学会と教育心理学会の発表集では、「社会化エージェントの多層的影響に関する研究(17)~(20)」の4編が発表された。内容は、中学校の担任教師の指導スタイルの一貫性が向社会性に及ぼす影響を検討した2編と親・教師・仲間・地域社会が中学生の向社会性・反社会性に及ぼす影響を検討した2編である。前者は、中学校3年間を通して一貫してM機能を発揮する教師と接すると、生徒が視点取得をしやすくなること、後者は、4種の社会化エージェント指標からクラスター分析で5グループを構成すると、全ての周囲の他者からの関わりが充実しているグループ4の子どもは、他のグループの子どもと比較して、向社会性が高く、反社会性は低いことが確認された。逆に、周囲の他者からの関与が低いグループ2の子どもは、社会的スキル、共感性、自己抑制や規範意識の得点が低く、一般的攻撃信念の得点が高いことが示された。
日本グループ・ダイナミックス学会では、「養育者の子育て方針が子どもの社会化に影響するプロセス」を友人ネットワークの観点から検討した。その結果、中学生にとって重要な社会的ネットワークである友人関係を十分に築けていないことが、子どもの反社会性の抑制に対する養育者の子育ての効用を妨げてしまう可能性があることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成28年度の研究実績は、実績の概要に示した通りである。これは、研究チームで一昨年度まで実施していたA県内の一つの中学校における3年間の縦断調査データの分析結果である。平成28年度は、この調査研究をG県K市の複数小中学校で縦断研究として実施できることになった。これまでに、1年目の調査を実施し、そのデータを分析し始めているところである。
もう一つは、G県G市が力を入れているコミュニティスクールに関する研究を始めた。平成28年度は、1つの小学校と2つの中学校の協力を得て、教師、保護者、地域住民の3者、合計23名に各30分程度の面接調査を行った。内容は、3者の連携をチームワークの観点から捉えるために、それぞれの組織内における連携のあり方、充実感、他組織との連携のあり方について半構造化された面接を行い、それを録音し、言語化したデータから、3者のチームワークを測定できるような質問項目の作成に取りかかっている。

今後の研究の推進方策

平成28年度に引き続き、G県K市の複数小中学校で、親や教師からの働きかけが、児童生徒の向社会性や反社会性傾向に及ぼす効果を縦断的に検討する。平成29年度は2回目の調査を実施する。
もう一つは、G県G市の教育委員会の支援により、地域住民や保護者が学校運営の意思決定に参画するコミュニティ・スクールに関する研究を推進することである。教師や保護者、地域住民の連携のあり方(チームワーク)が、児童生徒の教育効果にどのように結びついているのかを、市内全域の小中学校で、質問紙調査を行う予定である。平成28年度の面接調査から、連携に関する項目を作成する。児童生徒の教育効果は、学習面と社会性に関する項目を作成する。

次年度使用額が生じた理由

平成28年度は、共同研究者のうち1名が、マツダ財団の研究助成を受けることになり、単年度使用のため、チームとしてそのお金を優先的に使用したため、直接経費の使用残額が340,856円となった。直接経費の30%強が平成29年度に回されたが、この金額は、質問紙の印刷費やデータの入力費が、予想以上に必要となる予定である。

次年度使用額の使用計画

平成29年度は、コミュニティスクールに関する質問紙をG県G市の全小中学校で実施することになったため、質問紙の印刷費とデータ入力費に、予定以上に費用を必要とする。また、日本心理学会が久留米大学、日本社会心理学会が広島であるので、旅費も予定より多く必要とする。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] 養育者の養育態度が青年の養育認知を介して社会化に与える影響2016

    • 著者名/発表者名
      浅野良輔・吉澤寛之・吉田琢哉・原田知佳・玉井颯一・吉田俊和
    • 雑誌名

      心理学研究

      巻: 87 ページ: 284-294

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 養育態度が子どもの社会化を導かなくなるとき-社会生態学的環境による調整効果-2016

    • 著者名/発表者名
      浅野良輔・吉澤寛之・吉田琢哉・原田知佳・玉井颯一・吉田俊和
    • 学会等名
      日本グループ・ダイナミックス学会第63回大会
    • 発表場所
      九州大学
    • 年月日
      2016-10-09 – 2016-10-10
  • [学会発表] 社会化エージェントの多層的影響に関する研究(19)-エージェント潜在クラスが中学生の向社会性に及ぼす因果的影響-2016

    • 著者名/発表者名
      吉澤寛之・吉田琢哉・原田知佳・浅野良輔・玉井颯一・吉田俊和
    • 学会等名
      日本教育心理学会第58回総会
    • 発表場所
      かがわ国際会議場
    • 年月日
      2016-10-08 – 2016-10-10
  • [学会発表] 社会化エージェントの多層的影響に関する研究(20)-担任教師の指導スタイルの変化が中学生の向社会性に与える影響-2016

    • 著者名/発表者名
      吉田琢哉・吉澤寛之・原田知佳・浅野良輔・玉井颯一・吉田俊和
    • 学会等名
      日本教育心理学会第58回総会
    • 発表場所
      かがわ国際会議場
    • 年月日
      2016-10-08 – 2016-10-10
  • [学会発表] 社会化エージェントの多層的影響に関する研究(17)-担任教師の指導スタイルにおける1年次と3年次の一貫性が中学生の向社会性に与える影響-2016

    • 著者名/発表者名
      吉田琢哉・吉澤寛之・原田知佳・浅野良輔・玉井颯一・吉田俊和
    • 学会等名
      日本社会心理学会第57回大会
    • 発表場所
      関西学院大学
    • 年月日
      2016-09-18 – 2016-09-19
  • [学会発表] 社会化エージェントの多層的影響に関する研究(18)-エージェント潜在クラスが中学生の反社会性に及ぼす因果的影響-2016

    • 著者名/発表者名
      吉澤寛之・吉田琢哉・原田知佳・浅野良輔・玉井颯一・吉田俊和
    • 学会等名
      日本社会心理学会第57回大会
    • 発表場所
      関西学院大学
    • 年月日
      2016-09-18 – 2016-09-19

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公開日: 2018-01-16  

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