研究課題/領域番号 |
16K13466
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
野内 類 東北大学, スマート・エイジング学際重点研究センター, 准教授 (50569580)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 災害教育 / 国際展開 / スタンプラリー |
研究実績の概要 |
防災教育に関する国内外の論文をレビューし、防災教育は主に小学生を対象に実施しており、成人向けの防災教育はあまり実施されていないことがわかった。さらに、防災教育で使用している教材や実施方法を調べたところ、グループワークがもっとも多く行われており、ゲーム形式の教材に注目が集まっていることがわかった。 上記の研究のレビューを参考にしながら、子どもだけでなく、大人でも使用できるゲーム形式の防災教育ツールを作成することにした。集団で実施できる防災クイズやスタンプを集めながら災害に関する知識や判断力を育成するスタンプラリーや自分の判断によって結末が変わるゲームブックなどを作成した。その後、日本人の小学生から高齢者を対象に、実際に作成した防災教育ツールを使った災害教育介入を行った。その結果、クイズ形式は簡便に実施できるが、成人には簡単すぎる点、ゲームブック形式は実施に時間がかかる点なども問題点が明らかになった。一方で、スタンプラリーは、どの年代でも同じようなルールで実施できるという点がわかった。 上記の結果を受けて、タイ国内のバンコクとプーケットでスタンプラリーを用いた防災教育を実施し、災害教育の国際展開を行った。タイ国内の5つの小学校でスタンプラリーを用いた災害教育を実施し、延べ300人のデータを取得することができた。災害教育を実施している時の様子を比べると、日本でもタイでも楽しみながらスタンプラリーを実施していることがわかった。現在、得られたデータについて詳細な解析を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、ほかの地域でも災害教育を実施する予定であったが、災害教育を実施する予定の学校の事情などで実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
これまで作成した災害教育ツールの効果の国内検証は十分にできたため、今後はタイ国内のほかの地域や他の国を中心として、災害教育の国際展開を進めていく。そのために、現地のコーディネーターと頻繁にやり取りしながら、災害教育を受け入れてくれる学校の候補を選定し、事前に学校の行事等を収集することで、学校と協力しながら災害教育の実施計画を立てるようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
日本国外の地域(タイとアメリカ)で災害教育を実施する予定であったが、タイ国王の崩御に伴い災害教育を実施予定の学校のいくつかで予定通り実施することができなかった。また、アメリカにおいても、国際状況の不安定際の影響を受けて、災害教育を実施することができなかった。 次年度以降の使用計画としては、今年度実施できなかった日本国外の地域での災害教育の実施のための旅費として主に使用する予定である。
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