本研究の目的は、重複障害児(肢体不自由に知的障害を併せ有する子ども)を指導する教員に求められる専門性の1つである「行動観察力」を高めるためのプログラムを開発し、日韓の大学生を対象としてその効果を検証することであった。平成30年度では、平成29年度に得られたデータを多角的な観点から再分析を行うとともに、大学の授業の一部としても行動観察プログラムを適用した上、プログラムの効果を高めるため実践的な検討を行った。その結果、日韓の大学生(特別支援教育専攻)を対象とした実験から両国とも有意味な効果が認められた。本研究の成果については、その一部を韓国の著書「重度・重複障害学生の余暇活動のための教授・学習テキスト」(全5冊)、「The Parent's Guide to Support Adults with Disabilities Ⅵ: Physical Disability」などで紹介した。今後、日韓における重複障害児の指導および支援の充実を図るため、本研究で開発された行動観察プログラムを改善する学術的研究を継続的に推進するとともに、教員養成および臨床教育に関する授業(演習)として位置付けるための実践的努力にも力を入れたいと思う。本研究の成果については、学会発表と論文投稿はもちろん、書籍として日韓の教育現場へ提供したいと思う。
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