本研究では、顔の知覚や言語の知覚といった、これまで単独で扱われてきたものを同時にテストし、出現時期を特定・確認しようとする試みであり新しいアイディアであった。先行研究では、行動的なレベルでは弁別を示さないが、神経レベルでは弁別を示すことを報告も見られる。これは、脳のレベルでは、知覚的に弁別する能力が残っていても、行動のレベルでは、経験により入力を補うことがないと現れないのかもしれないことを示唆するものである。いずれにしても、知覚的狭小化の領域一般説、領域固有説に関わる研究は極めて新しいもので、乳児の知覚システム発達をより深く理解するうえで、理論的な側面の解明を進めるものとして意義がある。
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