研究課題/領域番号 |
16K13473
|
研究機関 | 北翔大学 |
研究代表者 |
瀧澤 聡 北翔大学, 生涯スポーツ学部, 准教授 (50438058)
|
研究分担者 |
伊藤 政勝 北翔大学, 教育文化学部, 教授 (10733701)
石塚 誠之 北翔大学, 教育文化学部, 講師 (90726118)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 発達障害 / 身体緊張緩和法 / 有用性 / 継承性 / 通級指導教室 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、発達障害児が,身体緊張の状態に気づき,それを自身で制御できる方法を開発することであり、そのためにまず取り組んだ研究は、研究代表者の経験則で実践してきた方法を身体緊張緩和法とし、科学的手法で多面的包括的にその効果を実証することであった。これまで、小学校通級指導教員1名にこの方法を研修してもらい、その教員による実践で、学童期の発達障害児と定型発達児を対象に、身体緊張緩和法による介入前後の値を包括的に検討した。その結果、統計上の有意差は確認できなかったが、測定した値が減少傾向にあったことから、ある程度の効果があると考えられた。 このことをふまえて、2018年度における本研究の展開は、研究最終年度ということもあり、この身体緊張緩和法が、学校教員にとって再現可能かという関心に基づいて検討された。この方法が導入されやすい個別指導中心で実践されている小学校通級指導教室の研究協力を得て、3名の通級担当者に事前に身体緊張緩和法の方法を研修してもらった。そして、それぞれが担当する児童にこの方法を実施してもらい、上記と同様の指標で介入前後の値を検討した。その結果、各指標に有意差や優位傾向が確認された。 身体緊張緩和法を採用した小学校通級指導教室担当者1名による実践報告をまとめることができた。ここでは、配慮の必要な児童1名に対する指導実践について、この方法の導入前後による児童の変容を、担当者による観察と上記の同様の指標を組み合わせて報告した。心理学的観点と生理学的指標により、身体緊張緩和法の包括的評価を達成できたと考 えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2016年度実施状況報告書には、簡易な筋電計を購入し,2017年度中の7月には発達障害のある児童を対象にして測定すると記述した。なぜなら、発達障害児の身体緊張に関する多面的実態把握のため、慢性的な筋状態を把握するためには,筋硬度計とさらに筋電計を使用することで,より彼らの実態が解明可能になると思われたためであった。しかし、筋電計測定に研究協力してもらえる発達障害児童を探しだすことができず、当該年度は、若干の研究の方向転換をした。身体緊張緩和法を継承してもらえる学校教員が出現したため、この方法の継承性に関して検討することとした。そして、その成果も見えてきたので、2018年度が研究最終年度であったが、1年延長することにした。
|
今後の研究の推進方策 |
すでに筋電計は購入しているため、これを使用して今年度は発達障害のある児童を対象にした身体緊張緩和法の効果測定したいと考えている。身体緊張緩和法について、リラクセーション機能を持ち合わせている可能性があることは、瀧澤他(2018)ですでに報告した。現在、機器操作の簡易な筋電計が市販されるようになり、持ち運びもできるので、さまざまな場所で測定可能になった。このことを最大限生かしながら、発達障害のある児童の身体緊張緩和法における筋の状態について、測定したいと考えている。 このことの予備的検討として、大学生を対象にした研究を実施する予定である。当大学に在籍する大学生を対象に研究協力を求め、機器操作や実際の筋電活動の様子などを確認しながら、発達障害児に安全で安心して研究協力してもらえるように検討していきたい。 また、身体緊張緩和法は、その効果として時間的要因が重要であることを瀧澤他(2018)の報告で指摘した。丁寧な実践をすることで、その効果が生じやすくなる可能性を見出しているので、時間的要因の認識を深めながら、上記の研究活動を実施していきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度の計画として、身体緊張緩和法の効果について、筋電計を使用して実施するために、予備的検討として大学生、そして発達障害児を対象にする予定である。そのための研究協力謝金や、施設借用代、その他調査に必要な経費が必要なため。
|