研究課題/領域番号 |
16K13477
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
川島 大輔 中京大学, 心理学部, 准教授 (50455416)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | エンド・オブ・ライフ / 死 / 生涯発達心理学 / 高齢者 / アクションリサーチ / 終活 / 国際比較 |
研究実績の概要 |
具体的内容: 本研究の目的は,高齢者のエンド・オブ・ライフへの態度の実態とニーズを把握した上で,そのケアに資する実践的ツールを開発することである。平成30年度は計画に基づき,以下の課題に従事した。(1)平成29年度に実施した,名古屋市シルバー人材センターに登録している高齢者に対する質問紙調査結果についての分析を行い,日本発達心理学会において成果の発表を行った。(2)米国での地域在住高齢者への質問紙調査を実施し,約100名から回収した。(3)これまでの研究成果をもとに,高齢者のエンド・オブ・ライフへの向き合いを促すツールとして,ライフエンディングワークを作成し,日本発達心理学会において発表を行った。(4)平成28年度に実施した高齢者への調査研究の成果をまとめ,国際誌に投稿した。エンド・オブ・ライフへの態度と関連する,死と死別に関する成果発信も行った。 意義: エンド・オブ・ライフについては,医療現場でのケアに関連した研究が多数を占めており,高齢者施設入居者や自立的生活を営む大多数の高齢者のエンド・オブ・ライフについてはこれまで十分検討されていない。とくに高齢者が有するエンド・オブ・ライフへの態度の実態と関連要因についての詳細な心理学的考察は極めて乏しい。またエンディングノートや終活セミナーなど様々なツールのほとんどは学問的知見に裏付けされたものではなかった。こうした状況に鑑みて,本研究は高齢者のエンド・オブ・ライフへの態度と関連要因を明らかにし,かつそれに資する具体的なツールを構築することを目指すものである。 重要性等: 孤独死や高齢者自殺の問題などについて取り出される昨今,超高齢社会において人生の終盤(エンド・オブ・ライフ)をいかに過ごすかは重大な問 題である。本研究は,この問題解決に資する,基礎的な研究知見の提供と,実践的ツールの作成を目指している点において重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度の目的であった,米国での調査実施とライフエンディングワークの開発をそれぞれ実現させた。また成果発信については,国内での調査データを分析し,国際誌への投稿と学会での発表を行った。 他方で,一昨年度において当初の計画を変更し,国内での追加調査を行ったため,米国調査を最終年度の実施に計画変更したが,調査協力者の確保が予想以上に困難であった。国際比較に耐えうるサンプルの確保を優先した結果,当初の予定よりも調査期間を延長せざるを得なかった。平成30年度内に質問紙の回収は完了済みであるが,日米の調査データの比較分析を年度内に終えることができなかった。またライフエンディングワークはその試作版を完成させ,学会でも発表を行ったが,未だ改良の余地が多くある。 以上より,総合的には遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は,とくに日米比較調査のデータを解析し,高齢者へのエンド・オブ・ライフへの態度についての国際比較を行う。また研究の成果を,学術雑誌への投稿や学会発表等を通じて発信する。あわせてライフエンディングワークの実践を通じた,改良を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画を変更し追加調査を行ったため,米国調査を最終年度の実施に計画変更したこと,また調査協力者の確保が予想以上に困難であったことから,当初の予定よりも調査完了の時期がずれ込み,日米の調査データの比較分析を年度内に終えることができなかった。また実践的ツールは試作版を完成させたが,改良の余地が多くある。 研究期間を延長して平成31年度は研究計画の完遂と成果発信のため研究費を使用する。
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