本研究は,労働における過剰適応が,タイプA行動や防衛的悲観主義といったストレス関連特性とどのように関連しているのか,また対処行動の採用やストレス反応に与える影響について検討した。過剰適応は,ストレス関連特性との関連性は高いものの,対処行動やストレス反応に及ぼす影響はストレス関連特性の影響と比べて極めて低かった。このことから,労働における過剰適応はストレス反応を規定する要因として機能するのではなく,ストレスによってもたらされた状態だと考えられる。それゆえ過剰適応は,個人特性ではなく,ストレス反応の一つであるとみなすのが妥当である。
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