研究課題/領域番号 |
16K13494
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研究機関 | 名古屋学芸大学 |
研究代表者 |
今井 正司 名古屋学芸大学, ヒューマンケア学部, 准教授 (50580635)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 発達障害 / 注意 / 前頭前野 / NIRS / 通級指導教室 |
研究実績の概要 |
本研究は発達障害のある児童に対する認知機能の向上が学習効率や適応に及ぼす影響を実証的に検討することである。研究は様々な認知機能ごとにいくつかの研究パートに分けられており、同時並行的に各研究パートが実施されている。特に重点的に実施している研究パートは、数字抹消課題に類した注意課題の効果性と機序の検証である。本研究は、通級指導教室において、初年度から同一課題を継続実施して研究知見を蓄積しており、発達障害の特性と注意機能の関連性を検討している。本研究の手続き的特徴としては、脳血流測定装置(NIRS)を用いて、課題実施中の前頭前野背外側部(DLPFC;能動的注意制御の責任部位)を測定し、課題成績では把握できない集中力に関するデータを蓄積していることである。本年度において得られたデータを解析した結果の概略としては、(1)発達障害児は定期発達児よりもDLPFCの左右差が大きく、左DLPFC優位で注意課題を実施していること、(2)定期的な注意課題を用いた指導により、発達障害児は定期発達児と同様に右DLPFC優位で注意課題を実施するようになること、(3)特に、ASD児よりもADHD児において、これらの変化が顕著であることが示された。これらの研究知見は、前年度までの結果と同様であることから、安定的な結果であることが示唆された。これらの結果は、注意課題の成績のみでは把握できない知見であり、発達障害の注意メカニズムに関する有用な知見であると言える。従来の発達障害と注意機能に関する知見は、症状を把握することを目的とされたものが多く、本研究のように介入に重点をおいた知見は少ないことら、本研究における注意の知見は教育臨床的にも意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究が開始された時には1箇所の通級指導教室をメインにして実験が実施されていたが、現在は2箇所の通級指導教室において、研究が実施されるようになった。通級指導教室においては、研究課題の実施とそれに伴う脳血流測定が、教育研究プロトコル(研究計画)に従い、臨床心理士などの資格を有する6名の現場教員によって適切に行われている。現場教員の支援を十分に受けられていることもあり、研究進捗は「おおむね順調」であると判断することができる。しかしながら、通級指導教室という研究環境においては、通級している児童の特徴は様々であり、本研究が対象としている特徴以外の児童らも多く通級しているため、本年度においては十分なデータが得られているとは言い難い状況である。ただ、複数年度に渡ってデータを蓄積してきているため、研究全体で評価すれば解析に耐えうるデータ量を本年度は確保できていると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、2箇所の通級指導教室において6名の教員が子どもたちの指導をする体制で実施されている。各教室において、同一時間帯に複数の児童の指導が行われていることから、NIRSを用いた測定のタイミングを調整することを工夫することで、より多くのデータを確保しつつ、データ測定時期の厳密性も確保することができる。最終年度に行うデータ解析用に購入を検討していた統計ソフトやPC・ディスプレイなどの予算は別途確保できたことから、それらの予算でNIRSの本体ユニットを購入することを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
支出を予定していた物品などの価格が、計画時よりも安価になっていたため、次年度使用額が生じた。 今年度は本研究の最終年度であることからも、それらの予算とともに本年度の予算を使用し、これまでの研究データの統合的分析に関する支出に重きをおいて、研究計画を遂行していく。具体的には、脳血流装置を用いたデータを解析するために必要となるツールや機器を充実させることを計画している。
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