|
昨年度はライブでの絵本の読み合わせや演奏を対象者が見聞きするという体験によって、視覚的刺激や聴覚的刺激、新奇性や非日常性、ライブ演奏への直接的な接触感が、どのように心の健康回復・維持・増進に影響を与えているかを生理学的指標によって科学的に証明するアクションリサーチを行なった。本年度の研究目的としては、昨年度蓄積した研究データをもとに、1.絵本の読み合わせとJAZZ音楽の組合せが、聞き手のストレス緩和や心の健康へ及ぼす臨床心理学的な有効性についてのデータ分析を行なうこと。それらの研究成果を2.国内外の学会で発表すること3.講演会で発表すること4.研究成果を書籍として出版することの4つである。
本研究でのデータ分析の結果としては、生理指標を用いて絵本の読み合わせとJAZZの音楽が、聞き手の心の健康の回復やストレス緩和に役立つことを明らかにすることができた。以下、研究結果の概要を記述する。
1) サーモグラフィーと心拍変動測定器による計測の結果、鼻部上部の表面皮膚温度の上昇や心拍数の減少（交感神経優位から副交感神経優位な状態に変化）が推測され、リラックス効果を実証できた。2) JAZZのリズムと心拍変動の相関関係を実証でき、自律神経系の安定が促されたことが示された。3) サーモグラフィーの温度変化と塗色の変化には強い相関関係があると推測されていたが、今回の研究で表面皮膚温度の上昇に伴い、身体イメージの彩色にも変化が見られ、絵本とJAZZの融合が心理に及ぼす影響の一端を明らかにできた。
以上のような研究成果を本年度は国内外の学会で発表し、また、講演会では昨年度と本年度の結果に関する考察や今後の展望を交えた講演を行った。さらに、上記の結果を書籍として出版することができ、本年度の4つの目的は達成できた。
|
