研究課題
精神病性疾患からの回復(recovery)には,地域生活の中で,当事者の主観的なウェルビーイングを高めることが不可欠である.当事者主導研究(User-led study)は,精神疾患を経験した当事者の主観的ウェルビーイング回復過程を明らかにする有力な方法だが,世界的にも少なく,我が国ではほぼ皆無である.本研究では,①精神病および重度精神疾患を経験した当事者を中心とした研究チームを組織し,②地域生活の中で当事者が主観的なウェルビーイングを回復する過程を,当事者主導の研究体制で明らかにしていくことである.平成30年度は,①昨年度までに実施したフォーカスグループインタビューを通じて生成した仮説モデルの精緻化,②回復過程モデルの公表と論文化,③回復過程モデルを基にした量的研究の準備と実施,以上の3点を進めた.①昨年度までに精神疾患当事者を含むチームでのディスカッションを通じて,仮説モデルの精緻化を進め,回復促進要因に着目したモデルおよび回復阻害要因に焦点を当てたプロセスモデルを作成した.②回復促進要因に着目したモデルについては,当事者との共同研究の成果として国内誌に発表した.回復阻害要因に着目したモデルについては,フォーカスグループインタビューの結果を踏まえてまとめ,国際誌へ投稿し,受理された.③回復過程モデルを基にした量的研究については,現在計画を検討中である.
3: やや遅れている
昨年度までに実施したフォーカスグループインタビューおよびディスカッションの結果を踏まえて,回復促進要因・阻害要因に関する仮説モデルの精緻化を進め,当事者を含む研究チームで論文化することが出来,成果は積み上がっているが,当事者主導研究チームにおいて,参加する当事者メンバーの再構成が必要となり,インタビュー調査の日程再検討とそれに伴うスケジュールの変更が生じ,研究遂行に想定以上の時間を要した.また,研究結果を公表するに当たり,論文での報告に加えて,精神疾患当事者にも研究結果を分かりやすく伝えるためのPR方法を再検討し,当事者のリカバリー支援ガイドラインへの反映も含めた研究計画への見直しが必要となった.以上の遅れについては,補助事業期間を延長して対応する予定である.
今年度までの結果を踏まえて,延長期間において,①当初想定していた量的研究につながる研究計画の立案・実施,②研究結果のPRの展開を進めていく.また,今年度までの成果については,国際学会等を通じて国際的に発信していく.
当事者主導研究チームにおいて,参加する当事者メンバーの再構成が必要となり,研究遂行に想定以上の時間を要した.また,研究結果を公表するに当たり,当事者のリカバリー支援ガイドラインへの反映も含めた研究計画への見直しが必要となった.以上の遅れについては,補助事業期間を延長し,①当初想定していた量的研究につながる研究計画の立案・実施,②研究結果のPRの展開を進めていく.また,今年度までの成果については,国際学会等を通じて国際的に発信していく.
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BJPsych Open
巻: 5 ページ: e10
https://doi.org/10.1192/bjo.2018.77
BMJ Open
巻: 8 ページ: e020586~e020586
http://dx.doi.org/10.1136/bmjopen-2017-020586