研究課題/領域番号 |
16K13507
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
金山 範明 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 特任助教 (90719543)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 感覚 / 触覚 / 感情 / fMRI / 脳波 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度行った素材の選定、装置の作成、予備的行動実験の結果の解析を元に、fMRI実験の実施を行った。4-5月にパイロット実験を行ったところ、装置の不具合が確認され、問題の検証、再設計、修理が必要となった。このため実験を一時中断し、7月まで改良版の装置の検証作業を行った。これにより、使用装置の堅牢性に関して必要な工学的知見が得られ、長期間安定して使用ができる装置の開発が完了した。 8月には多数の実験参加者に、fMRIスキャナ内で脳画像を撮影しながら、様々な素材刺激を触れさせる実験を行った。10月初旬までに26名の参加者による実験を行い、快および不快感情を惹起する素材が手に触れた時の脳反応、またその刺激を待っている予期状態における脳反応に関するデータの取得が行われた。 10月初旬に実験機器の一部、音声を提示する装置が故障し、実験環境の一貫性を保つためには修理を待つ必要が生じたためブランクが空いたが、1月よりさらに実験結果の信頼性を高めるために実験参加者を増やす実験を行った。これにより、12名の実験参加者から、快および不快感情を惹起する素材が手に触れた時の脳反応、またその刺激を待っている予期状態における脳反応に関するデータの取得が行われた。一次体性感覚野、二次体性感覚野、および島皮質の関与が示唆される結果が得られた。引き続き解析を行っており、これら脳部位の関連性に関する知見が得られることが期待される。 一方で並行して、実験刺激装置の脳波実験への応用可能性を検証した。少人数の実験ではあるが、適切な脳波形を観測することができた。 これまでの研究成果の一部は知財戦略上本年度は非公開とし、公表を翌年度以降に先送りした。また解析が進行中であるため、最終的な結果を得るために、翌年度への延長を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
10月初旬に実験機器の一部、音声を提示する装置が故障し、実験環境の一貫性を保つためには修理を待つ必要が生じた。実験機器は、海外業者との2回の往復輸送を実地検証をするも修理は完了せず、12月にようやく実験に使用可能な状態までの復旧を見た。確認作業ののち、1月から実験を再開することができたが、実験に直結しない周辺機器の故障によって、実験の進捗が遅れたことで、本年度中に成果発表まで目途をつけることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
翌年度は主にデータの解析および成果の発表を中心に行っていく予定である。特に、得られた素材から作られた数十種類の触覚刺激に対して人がどのような感情を示すのかについての知見、そうした素材を実際に触れた場合、人が感情判断をする際にどのような脳部位がどのような役割を果たすのかを明らかにするという中心課題に関して、ロバストな知見を出すことが最優先と考える。 またこうした知見に基づいて、どのような素材をどのように触れることでどのような感情を惹起できるのかについて体系的な知見を提供できるようにしたい。 また本年度後半に検証した脳波実験における適用に関しては、これまで困難でありあまり検証されてこなかった自然接触の事象関連電位実験を行うことで、fMRIにも脳波にも使用可能な汎用認知神経科学用触覚提示装置の検証およびそこから得られる人の触感に関する脳内ダイナミクスを明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験機器の故障が複数回発生したため、実験環境の厳密な一貫性を担保するために機器の修理を待つ時間が発生した。特にそのうちMRI用音声刺激装置に関しては、業者の修理に4ヶ月以上も費やしたため、実質半年程度の遅れが生じた。予定していた実験自体は完遂することができたが、結果の確認のためのフォローアップ実験、またその論文化、学会発表等が十分でなく、これを期間を延長して行うこととした。
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